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横浜トリエンナーレ 2011

HAPPENINGText: Toshiaki Hozumi

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Carsten Nicolai, fades, 2011. Installation view for Yokohama Triennale 2011. Photo: Toshiaki Hozumi

また、カールステン・ニコライ(ドイツ)は、放射された光線が細かな霧で満たされた暗い部屋の中で様々なかたちに変化する光の彫刻「フェーズ」を出品している。単純な装置で光の美しさをみせるとともに、光に動きに伴って高温のノイズも発せられ、身体感覚を揺さぶられる。

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Jun Nguyen-Hatsushiba, Breathing is Free 12,756.3: JAPAN, Hopes & Recovery, 1,7892011. Installation view for Yokohama Triennale 2011. Courtesy Mizuma Art Gallery, Tokyo. Photo: Keizo Kioku. Courtesy of Organizing Committee for Yokohama Triennale

ジュン・グエン=ハツシバ(ベトナム)の作品は、ホーチミン市と横浜市の地図とを重せね合わせた映像作品。映し出されたその地図の上に浮かび上がる桜の花は、アーティスト自身やボランティア、総合ディレクターの逢坂氏などが今後の日本への祈りを込めて走った軌跡であることを知ると、その美しさはさらに際立って見える。

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Christian Marclay, The Clock, 2010 © Christian Marclay. Courtesy White Cube

このトリエンナーレ全体を通して白眉と言える作品は「The Clock」。開催中のヴェネツィア・ビエンナーレで最高賞を受けたクリスチャン・マークレーの作品で、今回最も話題となっている。古今東西の映画の中から、時計や時間を告げるシーンを抽出した作品だが、実時間と同じになり、しかも連続した映像として見られるように編集してある。観覧者側の日常と作品中の物語が、時間という一点を通して同調し、作品の中を変転しながら生きることができる。観覧者の滞在時間が長く、常に混んでいるようだが、確かにいつまでも見ていたくなるような作品だ。これもめくるめく映像の「美」と観覧者がもつ「美」の概念を重ねやすい作品だ。

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