XYZ COLLECTIVE

PLACEText: Yuko Miyakoshi

さらにその奥には、アーティストグループ「MIHOKANNO」のメンバーである千葉正也、万代洋輔が立ち上げたブックレーベル 「BOOK SHOP YAMATO」のスペースがある。入口には、XYZ collectiveが震災後のプロジェクト「FAXINATION JAPAN」で制作した巨大な本が。そのページに一枚一枚貼られているのは、世界中のアーティストからファックスで寄せられたメッセージ。モノクロのA4用紙とは思えない様々な表現があり、身の丈ほどの高さにある本と対峙しながらページをめくるのは楽しい。中にはビル・セイラーやタイラー・ワックスマン、雨宮庸介、青山悟の作品も。

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発起人であるCOBRAが、XYZ collectiveを立ち上げた思いについて語ってくれた。自身が2010年に東京ワンダーサイトの交換レジデンス・プログラムでオーストラリアのメルボルンを訪れた際、そこで出会ったアーティスト・ラン・スペースに感銘を受けたことから、XYZ collectiveの構想は始まる。

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『ギャラリーのオープニングパーティーの雰囲気が凄く良かったんです。向こうの文化はバーベキューやパーティーをしながらわいわいやるという感じで、それはアーティスト達の雰囲気にも、また共通した物があったんですよ。単純にアートに接している人間(アーティスト、キュレーター、ギャラリスト等)達の密接な交流があり、活気に満ちている。日本で同じような事ができるとは思わないが、ただもっと活気があってもいいんじゃないかと思うんです。アートに関係している人間だけに留まらず、デザイン、ファッション、文学、音楽等を繋いでいければ、メルボルンで感じた活気みたいな物を越えて、日本独自の文化発信基地ができるのではないかな、と。僕はアーティストとしてこのスペースを運営していきます。アーティストだから作れるネットワークや、社会との関係を築いていきたいと思っています。このスペースには同世代の人間だけでなく、SNOW Contemporaryの石水美冬や窪田研二も参加している。そういった方々とも一緒に何かをやっていけるというのは勉強になるし、それは僕が繋いでいきたいネットワークというものへの第一歩ともなっています。今回、SNOW Contemporaryに初めの展覧会を飾って頂いた事も大変感謝しています。』

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ベルリンの壁崩壊後のドイツでは、アーティストグループによるラン・スペースが自然発生的に出現したという。不景気や様々な逆境に屈することなく、 アーティストのアクションはより活発になっていったということだ。アート、音楽、本、ファッションなど、様々なシーンの接点となりそうな XYZ collective。同じフィールドの人だけでなく、他のフィールドにいながら共通項のある人たちが集まる場になったら、とても面白いと思う。

ロケーションは渋谷からバスで20分ほど行った住宅地にあり、リラックスした雰囲気の中で鑑賞できる。三宿周辺のおしゃれなお店まで足を伸ばすのもいい。少し時間を作れば、ちょっとだけ都会を脱してアートに触れられる機会がある。

XYZ collective(エックスワイジー・コレクティブ)
住所:東京都世田谷区弦巻2-30-20 1F
https://xyzcollective.org

Text: Yuko Miyakoshi

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