シーラン・パライ、シーリン・アリ「キャピタル」(死刑に値する)展

HAPPENINGText: Rachel Alexis Xu

この展示には皮肉にも辛辣な美しさが吹き込まれている。司法組織を批判したとして刑務所に入ったアラン・シャドレイク氏による作品、「Once A Jolly Hangman」の散文が、日光がチャンギ刑務所にロマンチックとも言える色相を映し出すノスタルジアを誘う写真を装飾する。

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黒い遺体袋がむき出しになった白い壁にかけてあり、小さな隙間から赤紫色のランが灰色のコンクリートの床に落ちる。忘れられない様な表情をした絞首台へ送られた個人の印刷が文字盤に施された時計、その針は絞首刑にあった正確な時間に止まっている。ひとつ、壁の端で動いている時計がある。現在、判決に対し上訴中の若い麻薬違法商人のヨン・ブイ・コング氏の事件だ。どれも耳障りであり叙情詩的だ。

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そんな様々な解釈が可能な作品が多い展覧会は、テーマについて少しも知らない(無力で不運である)個人の場合、アーティスト達にとって不利になる可能性がある。シンガポールにいる多くの人は、法律による影響に疑問を抱かず、その影響は現状の一つとして精通している。作品とみる者の間の対話は絡まるか、生ぬるいままになるかだ。

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この展覧会の成功と言えば、アートを使って一見不愉快なものに美を添え、人が避けるものを口当たり良くし、暗い現実に明かりを照らし、人の矛盾する卑劣さ、もろさ、そして何より力に新しい角度と観点を与えた事だ。

この展覧会は、2012年4月にアサイラムにて巡回予定。

CAPITAL
会期:2011年5月21日〜5月26日
会場:Post Museum
住所:107+109 Rowell Road S209033
TEL: +65-6396-3598
http://www.post-museum.org

Text: Rachel Alexis Xu
Translation: Meiko Maruyama
Photos: Rachel Alexis Xu

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