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TOKYO FRONTLINE 2011

HAPPENINGText: Yuko Miyakoshi

ちょっと早足で2階へ移ろう。体育館であったスペースは赤い絨毯がひかれ、展示会場に姿を変えている。入り口で鮮やかに迎えてくれたのは、スノーコンテンポラリーの飯沼英樹。

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一見プラスティックの様な印象を与えるが、木彫りの彫刻だ。今回はヨーロッパで活動してきた作家の日本初公開。確かな造形力は流行りの服に身を包んだ女性の通俗性を十分に救い、リアルな今の女性像を切り取ることに成功している。

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圧倒的な存在感を見せていたのはヒョンギョン(g³/)の「Super blue」。プリミティブでもあり、清新でもある強い光を放つ。ヒョンギョンは原始的な力を内在する共鳴体であり、現代においては希有なその精神で「今」を吸収し、タブローに爆発させている。

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このほか、中央に配された東恩納裕一の照明作品、エモン・フォトギャラリーの横波修、丸の内ギャラリーのジャン・クロード・ウーターズなど、GYMセクションも1階の展示に負けないほど刺激的だった。

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また、今フェアでは、美術家の名和晃平や哲学者の千葉雅也など、様々なゲストが登場するイベントも毎日開催されていた。私が訪れた日には、後藤繁雄、コミュニケーション・ディレクターの森本千絵、脚本家の倉本美津留のディスカッションがあり、幸運にも拝聴させて頂くことができた。

上記三氏がそれぞれに気になる作品、欲しい作品について語り、美術館で絵を鑑賞するのとは少し違う、『買う気になって見る』というアートフェアの楽しみ方について触れた。現代アートには、今まさに同時代に生まれてくるものの価値がある。コレクターでなくとも、もしこの作品を手に入れたら、プレゼントにしたら、などと考えるのは楽しい。倉本氏の「買うこともひっくるめて現代アートやねんな」という言葉はとても腑に落ちた。さらにその後、蜷川実花の飛び入り参加もあり、ディスカッションは盛況のうちに幕を閉じた。

TOKYO FRONTLINE元年は、日本の現代アート界における、まさにHAPPENINGのようなお祭りだった。2011年の会期は終わってしまったが、ファーストセクションで紹介されていた38人の情報はiPad対応のアプリケーションで見ることができる。

また、近々、音と映像のコンペティション「SOUND & VISION AWARD」を開催する予定があるという。坂本龍一プロデュースのレーベル「commmons」とタッグを組み、次世代のアーティストを発掘していく。そう言った意味では今年のTOKYO FRONTLINEはまだ終わっていない。一年後の開催を待たずとも、様々な動きを見せてくれそうだ。

TOKYO FRONTLINE 2011
会期:2011年2月17日〜2月20日
会場:3331 Arts Chiyoda
住所:東京都千代田区外神田6-11-14
https://www.tokyofrontline.jp

Text: Yuko Miyakoshi
Photos: Yuko Miyakoshi

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