「現代エネルギー — イタリアの姿勢」展

HAPPENINGText: Chelsea Young

壁上に展開するインスタレーション・アートを語る上でニコラ・トフォリニの「作物栽培ケース」を無視する事はできない。

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ニコラ・トフォリニ「障害の度合いに関連して量は変化する」、2009年、様々な素材、30×160×10cm、2009年の展示「量は制御された成長と変化に一致する」関連のノートより、黒インクの手描きスケッチ、カラータイプ:0.05/0.1、モレスキン・ノートブック、14.8×18cm

「作物栽培ケース」は同時に展示され、それぞれに自立したエネルギー源を持つ、ふたつの作物栽培ケースから成る。それぞれのケースに活力を与えるエネルギー源は外部からの人工的なものであり、そのエネルギーは、植物が直接吸収できる光線へとエネルギーを変換するソーラーパネルによって吸収される。歪みを通して形成される光スペクトル(ひとつのケースは青、もう片方は赤色だ)は違った環境で栽培される2組の植物の成長に影響を及ぼす。ニコラのインスタレーションはこのようにして自然と栽培のれっきとしたかかわりを確立する。

遠く離れているにも関わらず、イタリアのアーティストたちは作品制作の上で中国の伝統文化に大きな影響を受けた。影響を受けたアーティストの一人、サベリオ・トダーロの作品は、中国の竹製帽子をかぶった旅人の模型を使って構成され、サベリオの人生哲学を表現している。

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サベリオ・トダーロ、「放浪者道」、2010年、ポリウレタン、石膏、紙、樹脂、木、75×185×65cm

見知らぬ土地と別れが放浪者の運命だ。放浪者には決まった住所はなく、路上が彼らの故郷だ。それゆえ放浪者は、自立し、賢明であるために、安全な寝床を確保するために、善良な人々とのみ関係を持つために、自分のみを頼りに成長する必要がある。そのような訳で放浪者は健康であり、何の妨害にもあわずに旅に出ることができる。サベリオのインスタレーションは中国哲学書の最高傑作である易経に捧げられた。1千年前に制作された易経は、現代生命化学の到来まで、因果関係に基づく西洋の科学原理を根本的に脅かすものであった。西洋の人々は甲骨という文化を理解しようと何度も挑戦してきたが、その理解方法においても常に西洋の考え方と論理をよりどころとしてきた。しかしながら、皮肉にも、易経は唯一実現可能な理想郷であり、偶然の一致の論理とモーメント理論に基づいている。したがって我々の存在を確認しうる唯一の規範なのだ。

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