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第6回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

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Hans Schabus

ハンス・シャウブスは、ベルリン東部にある放置されたままの遊園地跡「クルトゥアパーク・プレンターバルド/シュプレーパーク・ベルリン」から巨大な恐竜の模型を建物中庭に運び込んだ。この公園は東ドイツ時代時代に建造され、東ベルリンきっての娯楽施設として人々に愛されたものの、経済的な理由により2001年閉園された。

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Anna Witt

この会場では数多くのビデオ作品が展示されていた。その中で私のお気に入りを2点紹介しておこう。
アンナ・ウィットは自ら全裸になり母親の服に潜り込み、お腹から生まれ直すというパフォーマンスをビデオに収めた。

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Ferhat özgür

フェルハト・オズギュールによる作品。スカーフを付けた典型的なモスリム風の女性がレナード・コーエン原曲、ジェフ・バックリーのハレルヤに合わせて歌う。実際私は、最上階に展示されていたこの作品を見た後、窓から外を眺めると向かいのバルコニーで彼女と同じ様な格好をした女性達が優雅な午後のひと時をエンジョイしていた様子を目のあたりにした。

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Danh Voh

ダン・ヴォーは、ベトナム戦争終結の年、1975年にサイゴンで生まれ、デンマークを経由して現在はベルリンを拠点に活動している。オラーニエン広場から徒歩5分ぐらいに位置する自身のスタジオで彼は、19世紀末にインドシナ半島からチベットにかけて滞在した、カトリック宣教師のジャン-アンドレ・スーリエの植物のドローイングをバスルームの壁に転写した。それと同時にスーリエ最後の手紙をアーティスト自身の手で書き写し、書斎のテーブルの上に示していた。あたかもこのアパートにスーリエの東南アジアでの痕跡をなぞるかの如く、アーティスト本人の生活の痕跡の上に重ね合わせて見ることができた。アーティストのアトリエを展示空間にする試みは幾度か見て来たが、ヴォーが様々なものを組み合わせて作品にする、いわゆるレディメイドな作風故か、スタジオの机や棚だけでなく、調理道具や家具さえ、一つ一つの物品が物語を語っている様で、興味深く鑑賞することができた。

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フェルナンド・トロッカ
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