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第6回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

本稿では、KWとオラーニエン広場の廃ビル会場の幾つかのアーティストの作品に言及する。展覧会の雰囲気の一端を汲み取って頂ければと思う。

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Petrit Halilaj

KWで、展覧会の導入とも言えるべき位置にあったのは、ペトリット・ハリライの一連の作品だった。通常の入り口は封鎖されており、係員の誘導で地下に通じる階段へと通された。地下の暗がりを通り抜けると、吹き抜けのホールに出、所狭しと建造物とも言うべき木造の構造物がホール一杯を占拠していた。内戦後の混乱の中で立てられた、ボスニアの彼の家をモチーフにしているという。その脇には、中庭に抜ける扉が開け放たれており、ニワトリを放し飼いにしていた。

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Petrit Halilaj

この木製建造物は階上の2階まで突き抜けており、窓の外からその一端を見ることができた。2階はその一端を見る為だけに、窓が開放されており、その他は白塗りの壁のままという、とても贅沢に空間が使用されていた。1階のフロアにはニワトリ等をモチーフにした幾つかのインスタレーションやドローイングが展示されていた。つまりKWの3フロア分のスペースを彼一人が使用しており、あたかも彼の個展のごとく、だった(通常KWで行われる個展ではこの程度のスペースを使用する場合が多い)。

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Mark Boulos

マーク・ボウロスは、世界最大規模のデリバティブを取り扱うシカゴ証券取引所の映像とナイジェリア・デルタの住民の生活の様子を、向かい合う壁2面それぞれに投影する。ロイヤル・ダッチシェル社の取引高がめまぐるしく動く一方で、油田による漁場の汚染により生活が貧困極まる様子がパラレルに投射されていた。

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