小山泰介

PEOPLEText: Mariko Takei

都市を撮影した写真作品以外に手掛けているものはありますか?人物を撮影した作品は制作しますか?

以前は都市を歩くということが基本でしたが、最近は「Starry」や「Melting Rainbows」など、これまでとは違うアプローチもしています。

他にも現代美術作家の作品を撮影した「Artworks」というシリーズも少しづつ撮っていて、今年の4月に東京都現代美術館で開催された「MOT アニュアル 2010 AN10」のカタログのために撮影した作品は「Artworks from AN10」として会期中に展示をしました。

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Solo Exhibition “Artworks from AN10”, Museum of Contemporary Art Tokyo, Foyer, Tokyo, 2010

もともとは金氏徹平さんの作品を雑誌で撮影したことがきっかけで始まったもので、アーティストが今作っているものも都市や建築と同じようにこの時代に発生しているものであるという視点から、路上で撮影するときと同じような感覚で作品を撮るプロジェクトです。

また、1秒間に10枚の速度で6000枚の写真をプロジェクションする「High Speed Slide Show」という映像作品も、2006年からアップデートしながら発表しています。

人物に関しては、仕事でポートレートやインタビューカットを撮ることはありますが、作品としてはまだありません。ずっと作品として撮りたいと思っているので、いいアイディアができたら撮りたいですね。

海外でも多くの注目を集めていますが、日本と海外とで比べると反響に違いを感じますか?

あまり違いは感じないです。日本でも海外でも、人によって好みは違うし、物の見方も人それぞれです。ただ、海外の方が日常的に見られる作品の質も量も圧倒的に多いことは事実なので、そういった環境で制作したり発表したりしたいなと思っています。

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“Melting Rainbows” Installation View from Group Exhibition “3331
Presents TOKYO”, 3331 Arts Chiyoda, Tokyo, 2010

写真作品を手掛ける上でインスピレーションとなっているものがあれば教えて下さい。

最近は、“曖昧な境界”ということをよく考えています。これまでも都市の中の自然のようなものに興味がありましたが、僕が関心があることは“都市”や“自然”と切り分けられることではなく、“都市”とも“自然”とも言えるような状態や、どちらか一方に断定できない状態です。“都市”と”身体”と言ってもいいですが、“無機物”と“有機物”や“意識”と“無意識”など、言葉で分けることは簡単でも、実際にはそれらが曖昧に混ざり合った状況の中で僕たちは生活している。そういったことに興味を持っています。

好きなアーティストやミュージシャンがいれば教えて下さい。

最初に衝撃を受けた写真家は森山大道さん、学生の頃はTOMATO/アンダーワールドが大好きでした。アーティストではオラファー・エリアソンが好きです。制作する時によく聞いているのは、オウテカの最近の2枚のアルバム、コーネリアス、グロウィング、 スティーヴ・ライヒ、ニコ・ミューリーなどです。

今後はどのような作品を手掛けていきたいですか?

「Starry」や「Melting Rainbows」のように、「entropix」の時から関心があることを突き詰めるようなアプローチをしたり、また街を歩いたり、「entropix」を発展させたシリーズも考えています。他にも、アーティストとのコラボレーションや、サイトスペシフィックなプロジェクト、ファッションや建築などの撮影も積極的に手掛けていきたいと思っています。また、「entropix」の後に制作した作品がたまっているので早く写真集にまとめたいです。写真集はお金がかかるので、スポンサーを見つけたいと思っています。

Text: Mariko Takei

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