小山泰介
PEOPLEText: Mariko Takei
2006年に「entropix」シリーズを展開して以来、現在もこのシリーズは続いているそうですね。「都市を有機体として捉える」というアイディアはどのようにして生まれたのですか?また、撮影する対象物はどのように決めているのですか?
中学生の頃から登山やキャンプをしていて、専門学校では自然環境について勉強しました。また、高校2年生の時にインドへ行き、それ以降アジアを中心にバックパッキング旅行に行くことが多くなりました。そういった経験の結果として、都市も自然と同じように新陳代謝しているという視点があり、アイディアというよりは自分の眼や皮膚感覚としてそのように感じているのだと思います。
Untitled (Shading Vinyl) / 2007 / From the series of “entropix”
撮影したものは意識的に撮ったものも無意識のうちに撮っていたものもありますが、なまなましさや色、質感などがより強い状態を求めているので、撮影は晴れた日の昼間に限定しています。 写真が撮影された現実だけを指し示すのではなく、そこから見る人それぞれの感覚や想像力によってイメージの飛躍が起きることを望んでいるので、結果として抽象的な写真になることが多いです。
写真集「entropix」は僕の基本的なスタンスを現したものになっているので、今後も「entropix」という視点や撮影方法は継続していくと思っています。
Untitled (Rainbow Form 11) / 2009 / From the series of “Rainbow Form”
「Rainbow Form」や「Melting Rainbows」で展開している「虹」に着目したのはなぜですか?
虹という光の現象が印刷物として街中に貼られているということが、すごく写真的な事だと感じたからです。「Rainbow Form」では虹らしく見えるものを撮ったのではなく、普通の虹には存在しない状況や違和感が現れている状態を探しました。「Rainbow Form」で撮っている虹は1種類ですが、様々な場所で撮っています。
ファインダーを通して見る都市は小山さんにとってはどんな場所ですか?
様々なスケールで流動し、常に変化の過程にある場所です。
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