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ポリクセニ・パパペトルー

PEOPLEText: Mariko Takei

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© Polixeni Papapetrou “Elizabeth 1” (Phantomwise) 2003

一番好きなファンタジーや物語は?またその理由も教えて下さい。

難しい質問ですが、私はヨーロッパのおとぎ話が好きです。その世界感や自然が潜在的に脅威的で、厳しく、残酷に描かれているからです。森は、ヨーロッパ人の想像では、神聖で高尚なものとして捉えられてますが、おとぎ話の中では恐ろしくて不吉な場所にもなりえるのです。おとぎ話の森は不気味な所ですが、内観、発達、変化の場所ともなりえます。たとえ深くて暗い森が危険を象徴するとしても、子供にとって自己発見や変革を引き起こす精神的な自律性に満ちたものとして、子供は森を架空の安息の地として体験するかもしれません。だから、おとぎ話は、とても刺激的で魅力的なのです。誰か一人作家を選ぶとしたら、想像力、不条理感、言葉遊びや論法の使用などが素晴らしいルイス・キャロルを選びますね。特に「不思議の国のアリス」がシュールで大好きです。物語は子供が大人の世界へと成長する経験を的確に反映していると思います。

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© Polixeni Papapetrou “Winter Clown” (Phantomwise) 2002

最も影響を受けたと思う物事や人を教えて下さい。

とても影響を受けているのは、19世紀の写真家のジュリア・マーガレット・キャメロン、(ルイス・キャロルとして知られる)チャールズ・ドジソン、オスカー・レイランダー、イルージョン、シンボリズム、イマジナリー、シアター、パフォーマンスで満たされる活人画伝統の中でパフォーマンスとして理解されている写真の全て。好きなアーティストは、ジェフ・ウォール、シンディ・シャーマン、ジョエル・スタンフェルド、マーティン・パー、ウィリアム・エグルストン、ダイアン・アーバス、ラルフ・ユージン・ミートヤード。希望に溢れた、夢中にさせてくれる映画は、「不思議の国のアリス」(1966年、ジョナサン・ミラー監督)、「アザーズ」(2001年、アレハンドロ・アメナーバル監督)、「回転」(1961年、ジャック・クレイトン監督)、「狩人の夜」(1955年、チャールズ・ロートン監督)、「悲しみは空の彼方に」(1959年、ダグラス・サーク監督)、「欲望という名の電車」(1951年、エリア・カザン監督)、「アンドレイ・ルブリョフ」(1966年、アンドレイ・タルコフスキー監督)。

メルボルンでの生活や仕事について教えて下さい。また、メルボルンで好きなところもご紹介下さい。

メルボルン以外に住むことは想像もできませんね。世界中のいろんなところに行くのは大好きですが、メルボルンを拠点に仕事するのが気に入ってます。街は素晴らしいですよ。交通の便も良く、面白い所ですし、海岸、農場地帯やハイカントリーなど異なる風景を体験するのにもそんなに遠くへ行く必要がありません。景観も、湿地や半熱帯なところから乾燥した乾いたところもあります。私は特に昔の金鉱地帯とその周辺が好きですね。メルボルンには種類豊富なワインや食べ物もあり最高ですよ。

今後の活動について教えて下さい。

新しいプロジェクトを始めていて、また子供がマスクをかぶるのですが、大人に扮してポーズをとるというものです。アイデンティティを描写する方法のひとつとして、マスクを使った私の探求が続きます。子供には大人の顔とアイデンティティが存在しますが、大人を風刺しているわけではありません。というよりも、ルイス・キャロルの本や詩に見るような性格や人格を身につけているというものになります。

Text: Mariko Takei

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