大野力

PEOPLEText: Mariko Takei

インテリアは「DURAS Daiba」(2009年)という大型商業施設内のアパレルショップ。高い天井を店舗空間にどう活かすかという問いがアイディアを進める上でのきっかけになっています。ここでは、エキスパンドメタルの仮想天井を高さ2.25mの位置に挿入して水平に空間を分割し、その天井裏へ上がれるステップを設けてそこに少し景色の異なる売場をつくることにしました。

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DURAS Daiba(2009年)

ステップ状に積み重ねられた丘のようなスラブは、斜向かいに1カ所ずつ配置されていて、商品を立体的にディスプレイするためのステージであるとともに、店内を回遊するのに適度な見え隠れを生み出したり、平場を通って遠回り/ステップを上がって近道、など動線上の選択肢を与えるものでもあります。また、頂上まで上がったときの視界を大きく変化させるために、仮想天井を境に周囲の壁の仕上げを塗装からミラーに変えて、エキスパンドメタルの水平面や照明の灯りがどこまでも映りこんで反射するような現象をセットしています。

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大野力 ストアインスタレーション「ROLLS」展示風景 Photo: Toshiyuki Yano

7月23日からDIESEL DENIM GALLERY AOYAMAの1階ショップスペースでインスタレーション「ROLLS」を展示されますね。どのようなインスタレーションを展開するのでしょう?

総長945mの帯状のアルミを巻いたり伸ばしたりしながら、ストアの手前から奥へ、ひとつながりに空間をかたちづくっていきます。今回使うアルミは、とてもに薄く手で簡単に曲げられるようなもので、板と呼ぶには柔らかすぎるけれど布や紙よりは硬い、そんな中間的な物質感をもっています。

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大野力 ストアインスタレーション「ROLLS」展示風景 Photo: Toshiyuki Yano

巻いて塊にすることで硬く強いものにしたり、伸ばして1枚にすることで柔らかく弱いものにしたり、強度の変化とともに機能や表情を移らせながら、全体としては波打つような美しいフォルムをつくりたいと考えています。またそれが、この場所において建築と人と陳列される洋服とをゆるやかに繋ぐような不思議な存在になれば良いなと思っています。

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