501デザインスタジオ
最新作は漆の途中の工程に着目したものでしたね。
「SALOME」シリーズから「蒔地」(まきじ)という漆の技法を使った新作を発表しました。蒔地は、漆の下地づくりの作業です。漆は塗って研ぐという作業が何工程も入りますが、蒔地だけでも十分強度があり、美しいものです。しかし下地であるがために、その価値や美意識はあまり伝わっていません。そこを崩したくて制作した作品です。
SALOME – BOWL, 2010
その他のプロジェクトについて教えてください。
2009年に、日本金属洋食器工業組合の協力で「e・mul・sion 工芸と工業」という展示発表を行いました。これは、新潟県の燕(つばめ)市の町工場毎に抱えている在庫品の象徴的なデザインの品を集め、それを町工場毎に“現状”と“僕らの手仕事を加えたもの”を展示して、燕のモノづくりを知ってもらうことを目的とした活動です。
e・mul・sion 工芸と工業展, 2009
モノを売るということだけでなく、プロジェクトとしてこういった活動も続けていきたいと思っています。他には、使われなくなった古いスプーンを家庭から持参して頂いて、「鍛金」を施すワークショップ「SPOON PROJECT」なども開催しています。
新しいデザインでは、2009年に富山でのデザインコンペで入選した「RAINBOW RULER」という作品があります。これは7色に着色した厚さ1ミリのアクリル板を積層させた定規で、職人心が顔を出した寄せ木細工のような作品です(笑)。
最後に進行中の新しいプロジェクトについて教えてください。
秋のイベントに向けて発表する作品を制作中です。基本的には工芸技法の「蒔地」を使った「SALOME」の続編シリーズで、現代のある産業物に対して直接アプローチしていくものとなります。相反する価値観にある存在の物質を繋ぐコンセプトで “美を纏わせる”、“命を吹き込む”といったものになると思います。
501デザインスタジオの商品は、CIBONE、SOUVENIR FROM TOKYO、PASS THE BATONなどで購入可能。
501デザインスタジオ
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Text: mina