501デザインスタジオ

PEOPLEText: mina

伝統工芸の技法と手仕事によって、用途を失ったモノに、新たな息吹を与える作品を発表していますね。

例えば、売れ残った大量在庫の商品が破棄され、次々と新しいデザインで生産が行われ、数年後にまた大量在庫になる、という悪循環が起きています。「GALATEA」は工業化の象徴である無機質な金属の板に、カナヅチで何度も叩きながら成形する「鍛金」(たんきん)という手仕事の技法を取り入れた作品です。町工場の大量在庫のスプーンにそういう処理を施したり、カナヅチに“HIT”という文字を刻んで、叩く行為を痕跡として残したものなどがあります。

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GALATEA – CUTLERY, 2008

KANDATA」のボタンリングは、漆の「乾漆」(かんしつ)という技法を使ったものです。

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KANDATA BUTTON RING, 2009

乾漆は、もともとは繊維や糸などに漆を染みこませ、固める技法で、仏像などに用いられている技法です。粘土で型をつくり、そこに布を貼り込んで漆を染みこませた後、粘土を剥ぎ取る。そうすると中が空洞で丈夫で軽いものができるのです。現代でいうFRPのような技術で、とても優れた技法ですが、漆というとどうしても高価なイメージが付きまとうので、ボタンという用途を失った身近なものに処理を施した作品です。

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