セルフリッジズのウィンドウディスプレイ

HAPPENINGText: Waiming

今までで最も大変だった企画は何ですか?

決めがたいですね!いつも一番最近の企画が一番大変だったように感じてしまうので。たぶんクリスマス企画はどの企画よりも大変だと思います。1年で1番大きな企画ですから。予算も他のどの企画よりも大きいです。1年間を通して、クリスマスは一番大きなショッピングシーズンなので、企画に関わる全ての人がクリスマス企画をどうすべきかについてそれぞれ自分の意見を持っています。ウィンドウや飾りはクリスマスの時期に一番盛り上がるので多くの人が見ると思います。クリスマスウィンドウはメディアでも沢山報道され、セルフリッジはクリスマスの目的地になります。ウィンドウを見に遠くから沢山の人がやってきて、中には海外からこのウィンドウを見に来る人もいます。どんなウィンドウになるか常にプレッシャーと期待があります。沢山のものが展示されているウィンドウには沢山の商品があるので、実際のインスタレーションはより難しく、解決しなければならない問題も増えます。例えば、今年のクリスマスのウィンドウのテーマは「パントマイム」でした。

まずイギリスの伝統的なパントマイムのデイムと呼ばれる道化役をどうやって作り上げるかを考える必要がありました。私はパントマイムというのは舞台のようだと思っていて、その舞台には女性の格好をした男の人が出てくるのです。今回は実際に大きなドレスを使ったので、どのようにしてマネキンを女装した男の人に見せるかが少し大変でした。そこで、彫刻家にそのマネキンに男性の顔を彫ってもらい、それに服を着せることにしました。さらに、マネキン用の大きなスカートを作るため、衣装デザイナーを招いてデザインしてもらいました。おかしくて素晴らしいことがクリスマスには全て起きるのです。一年で一番大変な時期だと思います。

Gothic
Pantomime (visual) – A Window On Selfridges Creative Windows

クリスマス企画の中で何かひとつ特に記憶に残っているものはありますか?

おそらくちょうど終わったばかりの今年のクリスマス企画ですね。先ほども言いましたが、今年のクリスマス企画のテーマは「パントマイム」でした。伝統的な詩歌からおとぎ話まで様々なお話からフック船長や長靴をはいた猫など沢山のキャラクターがウィンドウに登場しました。どんな大きな帽子を被せるべきか悩みましたが、猫のマネキンには大きなケープハットを被せ、最後にバレンシアガの素敵なブーツを履かせました。これはとてもおもしろかったです。

もちろんこれらのおとぎ話は広く知られているものですが、私たちはそうした文化遺産に敬意を払いうと同時に、人々に私たちのウィンドウがそのお話を描いているのだと分かってもらい、かつ、おもしろいものを作らなければなりません。今回のクリスマスウィンドウについて私たちが一番笑ったことのひとつは、めったにウィンドウについてクレームはないのに、クレームを言われるときはいつもそのクレームが普通じゃないことです。

Gothic
Pantomime – A Window On Selfridges Creative Windows

どういったクレームですか?

今年はウィンドウにフック船長を使ったので、アレキサンダー・マックイーンを着てシルバーのフックを手にした美しいマネキンを展示したところ、あることに気がついたお客様から連絡を頂きました。私たちのフック船長はフックが逆の手についている、というメールを頂いたのです。これがクレームだったのです。どうやらお話の中でフックは左手についていたのを、私たちは右手につけてしまったようです。クレームを言うお客様はとても怒っていたり不快に感じています。私たちはクレームをよくあるものだと思って流すのではなく、常にとても丁寧に対応するようにしています。このクレームに対してもとても長い謝罪メールを送り、実際にフックを左手に付け替えました。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE