セルフリッジズのウィンドウディスプレイ

HAPPENINGText: Waiming

テーマは私たちが注目したいファッションショーのトレンドから来るものもあれば、おもしろいと思った舞台から来るものもありますよ。

Statuesque
Statuesque (visual) – A Window On Selfridges Creative Windows

「スタチュエスク」という企画を行った2009年1月の作品は私たちの企画のよい例です。この展示を開始する6ヶ月前にちょうどあの経済危機が起こり始め、アート業界では特に再び流行している彫刻にその影響が見られました。厳しい時代には、人々は永久的な価値を持つ、何かとても頑丈で立体的なものに興味を持つということを知った私たちは、現代彫刻に興味を持ちました。その間に、現代的な作品のすぐそばで歴史的作品を展示している展覧会がヨーロッパで数多く開かれていました。例えば大英博物館の「スタチュフィリア」という展示では現代彫刻がギリシャの大理石彫刻のすぐそばで展示されていました。

Statuesque
Statuesque – A Window On Selfridges Creative Windows

私たちは大胆さの必要性と古い作品のそばに展示することで現代作品に新たな価値を加えられることを知り、こうした経緯によって2009年の春夏ウィンドウではドレープの布やシフォン、シルクを使った服を着た彫刻を沢山展示しました。こうして様々な時代の全てがひとつにまとまることで、私たちは「スタチュエスク」というウィンドウの製作に至ったのです。私たちは大英博物館とV&Aミュージアムから許可を得て古代彫刻の写真を撮り、それらを巨大な二次元に引き伸ばし、さらにウィンドウの中に入れたのです。アーティストにそれぞれのヘッドピースを作ってもらうと、まるで古代ギリシャの人々のように見えて、これが先ほど述べたような効果を生み出すのです。

私たちはギャザーリングプロセスを終え、このようにしてコンセプトを生み出します。一度コンセプトを決めると、企画案を作ります。具体的なイメージを作り、現代アーティストや舞台、映画、そのコンセプトに合った要素やデザイナーのファッションの一部分を参考にし、そのコンセプトを説明した企画書を書きます。それを私のディレクターのもとへ持っていき、そのアイディアを私たちのビジネスディレクターに売り込みます。ほとんど彼らに強引に売り込むようなかんじですね。

その企画案が通ると、私たちのとても才能溢れるデザイナーたちが、ウィンドウが実際にどのように見えるのを2Dグラフィックで作成します。このとき、小道具がどのように見えるかのかや実際に服を着たマネキンなど、かなり細かい部分まで表現します。

このイメージ画像も通ると、実際に製作を行うプロダクションチームに企画の概要を説明します。このチームは様々な人々で構成されています。プロダクションマネージャーは彫刻分野出身の人で、本当に様々な外部とのやりとりを全て担っています。プロダクションチームはそのイメージを見て、実際にどのように製作するかを考えます。これはとても複雑な仕事で、彼らは予算を与えられ、外部と協力して仕事を行います。誰に協力してもらうか、どれくらいの費用がかかるか、どういった素材で作品を制作するのか、これら全てを彼らが決めます。厳密に言うと、彼らが問題解決チーム、実現チームなのです。

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