フセイン・チャラヤン

PEOPLEText: Wakana Kawahito

身体(ボディ)の周りのことを表現するといえば、たとえば、彫刻もそうだと思います。ある意味、デザインとアートは近い部分とそうでない部分がありますよね。なぜ、ファッションデザインだったのですか? 

私は、デザインとアートは同じものだと思っています。というのも、デザイナーはアーティストと同じように、批判的思考を行なっているからです。私には、デザインと彫刻の違いはありません。強いていえば、デザインは使うことができるが、彫刻は使う必要がないということでしょうか。また、逆に言えば、たとえ彫刻は使うことはできても着ることができない。私はその二元性が好きです。着ることもできるし、部屋の壁に飾ることもできる。そのような多様性がいいと思います。

では、服をお店で売るのと、美術館で作品を展示するのと、どのような違いがありますか?

人々が楽しむために私の作品を美術館で見るのが好きです。そして、お店でその作品の“友達”を買うことができる。つまり、作品とお店にあるコレクションはつながっているのです。
先ほど言ったように、一つの作品を美術館で展示することもできるし、お店でも買うことができるというのが好きなんです。

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INERTIA, Spring/Summer 2009, photo: Chris Moore

作品と売っている製品はつながっているのですね。では、あなたの作品のいくつかの要素をどのように産業としてのファッションに転換させているのでしょう?

美術館にある作品はモニュメント(指標)のようなものです。そのモニュメント(指標)の要素というのは、売っているコレクションの中にいつもあります。コレクションを着る人々は、ある意味、モニュメントの命を拡張していると言えましょう。

大抵、そのモニュメント(指標)が最初にきて、そこからデザインに入るのですか?

最初はアイディアです。モニュメントが最初にくるときもあるし、その逆もあります。コレクションによりけりです。

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Airborne, Autumn/Winter 2007, installation view at the Design Museum, photo: Luke Hayes

お気に入りのコレクションはありますか?

特にはありません。なぜならば、全てのコレクションは違ったアイディアや意図や状況でつくられており、その時々によるベストの方法をとっているからです。
もし強いてあげるとすれば、チャドルのプロジェクト(《Between》1998春夏)は、イスラムの問題で社会が過敏になっている時期だったため、とても感情的で、大きなリスクを伴う挑戦的なコレクションでした。あとは、リビングルームのコレクション(《アフター・ワーズ》2000年秋冬)も服や形を変えるということではチャレンジングなプロジェクトでしたね。

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After Words, Autumn/Winter 2000, photo: Chris Moore

どんなことに影響を受けますか?

人類学、地理的にどのように人々が動くのか、つまり移住ですね、あとはその時代の技術、哲学や科学の哲学、建築ではなく建築理論、その他一般的なカルチャーにまつわることです。

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