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ビル・ウォルフ

PEOPLEText: mina

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“Furrow and Eat the Young” (installation view), cherry, copper leaf, 2009 © Bill Wolff

複数の彫刻が織りなす動きとバランスの狙いについてはどうお考えですか?

私はどの彫刻にも強い運動感覚を持たせることに常に興味があり、優雅な平衡感覚がある物にもまた惹きつけられます。どんなスペースにでも観衆より多くの(またはより大きい)彫刻を置きたいのです。人は少数の小さな展示物を展示するギャラリーに入ると、彫刻をより小さく劣っているように考えやすいからです。でも、沢山の彫刻や自分たちより大きな彫刻を展示するギャラリーでは、作品と観衆の関係は違ってきます。人々は、自分と彫刻の相互関係について考えなくてはならないのです。ギャラリーに足を踏み入れる観衆をも含めた運動感覚をつくること、これが私の今回のゴールでした。

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“Gone Are The Days,” Gallery Sakamaki, Tokyo, Japan, 2008 © Bill Wolff

これまでの一連の作品に特徴的な口のようなフォルムについて、そこに込められている想いを教えてください。

私は、長い間、口や頭のシンボルとしてホーンのような形状を用いてきました。私は、まるでそれが話せたり音を奏でるかのようなアイディアが好きなのです。それは、周囲のあらゆるものを食べたり、吸い上げてしまうようにも見えますし、聞くことができるようにも見えます。それは、木の丸い部分からつくられる非常に自然な形なのです。私は、それが人々に問いかけるのが好きです。最初にその形状を使い始めたとき、私はそれを、“消費に基づく生活様式(消費し過ぎること)”のシンボルであると考えていました。でも使うにつれ、それは万能感覚器であると思うようになったのです。少し抽象的な頭(のイメージ)によって、人々はそれが何なのか、何をしているところなのかに思いを巡らせます。(例えば、誰が見ても完璧に鶴に見えるような)完全な再現描写の彫刻や芸術は美しいけれど、観衆にこれが何なのか、何をしているところかなどを想像させることへの影響が損なわれることに気付いたのです。

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“Elemental,” Live oak, dimentions variable, installation view, Garden, Brockport, NY, 2004 © Bill Wolff

作品を屋外に設置されることも多いようですが、作品と場所との関係性について意識していることは何ですか?

彫刻が白い台に展示されない限り、それは常に、それがある空間に属します。私は作品が観衆に疑問を投げかけるのが好きです。だから、私にとっては作品と観衆が同じ空間(作品は白い台の上でなく)に存在することが大切なんです。本当に独特で興味深い環境で作品を展示する機会があるときにはいつでも、そう心掛けています。より多くの問いかけを促す場所がより良い展示場所であり、屋外の自然に勝る展示場所はありません。私は屋外での作品展示やメイキングが(作品にとって)とてもよいものだと気付きました。それはまるで自然または展示スペースと協力しているかのように感じるからです。ホワイトキューブのために作品を作るときは、それはより単独な作品制作作業のようです。

最後に、あなたにとって、彫刻とは何ですか?

彫刻は、それを見ている人々と同じくらいリアルです。彫刻は私にとって、時間についての複雑な考えや瞬間を提示する機会であり、この手段なら時間のあるときに見てもらえたり、調べてもらえます。数千年の技巧とオブジェクト制作を続けるための方法であり、ありとあらゆる境界を越えて人々と繋がる素晴らしい方法です。

Text: mina

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