カガリユウスケ

PEOPLEText: mina

具体的な製作工程を教えていただけますか?

デザインのラフスケッチから始めることもありますが、大体は素材を触りながらです。パテは平面の状態で先に塗ります。パテが他のペンキとかの塗料と違うのは、ペンキの目的がフラットに薄くきれいに塗ることだとすると、厚みでしょうか。パテは穴埋め用のものなので、立体的になるように樹脂のような感覚でつくられてるのです。なので、塗って一番厚いところで1.2〜1.3ミリになるので、すごく乾くのに時間がかかるのです。2週間くらい寝かせて乾いたものをカバンの形にして、もう1回ミシン目とかを消すためにパテの上塗りをし、仕上げのニスを塗って終了です。

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カバンの形はどういう発想から生まれるのですか?

次の個展からはカバンの形の追求というのをちょっと意識しています。四角形から始まるのですが、フォトショップでいうところの1ドットみたいな感じで最小の構成単位というか。それは、カバンというか空間をつくるときに四角というのが人間の開発した形なのではないかというのがあって、それをデザインに落とし込みたいなっていう気持ちがあったのです。例えば、蜂であれば空間をつくるときにハニカム構造でつくっていくじゃないですか。人間は基本的に四角で縁取りして空間をつくってるんじゃないかなっていう。カバンのコンセプトとしては空間みたいなところから始まってるので、じゃあ四角から始めるしかないんじゃないかと。それで四角形から始まって正方形を畳んでいくと三角形にデザインされていくのが面白いなって、新しい作品はそんな視点でつくり始めました。リュックタイプが新作です。

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「ウォールシリーズ」は革の有機的な部分を消そうとした作品群です。でも、コンクリートのような無機的な質感を再現したいと思って追求しているのに、なぜかでき上がるとけっこう有機的でそのギャップが楽しいです。あとは、素材感を一番大事にしています。色については、白は汚し加工が楽しいし、形状劣化の美しさからというのがあります。

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「スキンシリーズ」はシワ加工を全面に施したものです。僕、動物園がすごく好きなのです。和歌山にあるアドベンチャーワールドでは象に触ったりできるんですよ。そこで動物を見てると、動物の皮膚って、生きているときはけっこう汚くてグロテスクだったりするのに、革になるとすごい綺麗なのです。なめして、塗料塗って、傷とか排除して。でも僕はもっとグロテスクの方が逆に綺麗じゃん!って思っていて、シワ加工ですごい凹凸を加えたり、もっともっと生に近い感じを出して、有機的な感じを追求していった作品です。

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