NIKE 公式オンラインストア

長岡 勉

PEOPLEText: Mariko Takei

今回のインスタレーションを手がけるにあたり、特にこだわった点がありましたら教えて下さい。また、ショップ空間での展開ということで面白かった点や難しかった点などありましたら教えて下さい。

単なる空間インスタレーションにならず、ショップとしてどのような空間を作れるかという点はこだわりました。ショップ内の既存什器のボリュームがけっこう多く、存在感もあるので、インスタレーションと既存什器が独立した存在としてありながら、互いに関係性をもたせることで、それぞれのキャラが立つ商品の森のようなモノになれば良いと考えました。
具体的には、ラビリンスオブウッドによって作られた迷宮のような空間の骨格を場所毎で既存什器や商品に合わせて変形させていきました。床から立ち上がって枝のように腕を伸ばしたディスプレイテーブルや、天井から垂れ下がってきて既存什器の上にポンとのっているようなテーブル、枝分かれした部分にカバン等を掛けられるフックなど、場所毎にキャラを変えながら、既存什器と混ざりながら、商品をディスプレイしています。

labyrinth_06%28low%29_A.JPG
DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA ショップインスタレーション「Labyrinth of Woods」 Photo: T. Hiraga

単に、什器との関係をつくるだけでは、ディーゼルというお店のエッジが効いた感じを出すのには物足りないので、空間の中心には、ラビリンスオブウッドが変形して、そのまま大きなシャンデリアになっています。
また、デニムのステッチからアイディアをもらって、ステッチのような穴の連続をベニヤに開けています。
ステッチの穴はベニヤにちょっとした遊び心をいれることで装飾的な意味合いもありますが、商品をぶら下げるためのキッカケもつくります。

あとこだわった点は、同じモノを見たり体験していても、行きと帰りで感じ方が異なる空間を目指しました。
正面から見ると、全てベニヤで作られているように見えるのですが、ショップの奥から振り返ると、所々にミラーが貼られています。商品や壁のテクスチャ、遠くのパネルがミラーに映り込み、行きと帰りで異なった体験ができます。

labyrinth_03%28low%29_B.jpg
DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA ショップインスタレーション「Labyrinth of Woods」 Photo: T. Hiraga

建築、インテリア、家具などのデザインなど、幅広く活動されていますが、全ての作品において一貫して展開しているアイディアなどありますか?理念などあれば教えて下さい。

なぜPOINTという事務所なのか、というところでも似たようなことをお答えしましたが、空間、人、モノがひとつながりになった豊かな風景をどうつくるのかということを考えています。
良い景色がある、心地の良い居場所がある、たのしい場所がある、といった素直な身体的な感覚に訴えるものをつくりたいと考えています。身体感覚は人それぞれな異なる部分もありますが、根底に流れる共通した部分もあります。そうした感覚をクライアントと共にプロジェクト毎に一緒になって考えていくというプロセスは共通しています。
プロジェクト毎に途中のプロセスでは色々考えますが、最後は、あまり難しく考えずに、そうした素直な感覚がどれだけ様々な人と共有できるか?楽しんでもらえるか?ということが大切だと思っています。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE