中国美術展「上海摩登」

HAPPENINGText: Mariko Takei

そこで、今度は札幌から上海のアーティストを招いて開催することになった「中国美術展 上海摩登–SHANGHAI MODERN-」。参加したいと名乗りを上げるアーティストには、現在の中国の現代アートをリードしている実績ある作家ばかりで驚いたという端氏。ヴェネツィア・ビエンナーレや横浜トリエンナーレに出展し、2007年にはエルメスのスカーフのデザインを手掛けた経験をもつディン・イー、上海美術館執行館長で世界各地で個展を開催しているリ・レイ、上海生まれの抽象画家であり書家のファン・ユァンチェン。

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Xue Song「意象書道」 Photo: Yoshisato Komaki

歴史的・政治的モチーフをコラージュした作品を手掛け、2009年アートバーゼル・マイアミビーチにも出展経験のあるシュエ・ソン、文字を用いた抽象画を手掛けるパン・ウェイ、様々な素材を使ったドット画を手掛け、上海美術館で個展を開催したこともあるチェン・チャン、2000年上海ビエンナーレに参加したチュ・フェングオ、この中では唯一70年代生まれで中国国内では絵画、海外では映像作品を発表してきているジン・ヤンピンの8名が上海モダン(摩登)な世界を繰り広げる。

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Jing Yangping「霊園」 Photo: Yoshisato Komaki

去年の上海での展覧会を第1歩とすれば、今回の札幌での展覧会を第2歩として、今後も中国とより密接な文化交流を行っていきたいと語る端氏は、もともとドイツをはじめ欧米との交流を重ねてきた経験があり、これまでに全く交流のなかった中国との交流を始めていきたいと意気込みを見せている。その先には、長年構想を進めている「札幌ビエンナーレ」を実現させたいという思いが広がっている。『札幌市が中国との交流を重点においている中で、芸術・文化レベルでも文化外交を強くしていくことが今後の札幌で重要になってくるわけで、それは僕が構想している「札幌ビエンナーレ」にダイレクトに繋がってくるわけです』

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中国美術展 上海摩登–SHANGHAI MODERN- CAI02

札幌ビエンナーレのプレ企画として「札幌国際芸術祭」を開催したいとする2011年は、札幌の新たな地下コンコースの完成を予定している年でもあり、安田侃氏をはじめとする作家の彫刻作品の設置を予定している公園を構成した創成川プロムナードの完成も控えている年でもある。また、これまで毎年開催されている札幌アートステージ会期中に、地下鉄コンコースに展開していた道内のアーティスト作品を展示している「500m美術館」が通年化されることが決まったという。道内だけでなく、海外も視野にいれた芸術・文化の発信地として、確実に進展を目指している札幌で、今回開催される上海発の中国現代美術展が「札幌ビエンナーレ」実現に近づく更なる一歩を生み出すこととなるだろう。

中国美術展 上海摩登–SHANGHAI MODERN-
会期:2010年2月6日(土)〜20日(土)
会場:CAI02
時間:13:00〜23:00(日曜・祝日休館)
会場:CAI02
主催:上海札幌現代美術実行委員会
共催:CAI現代芸術研究所、Gallery門馬
後援:中華人民共和国駐札幌総領事館、札幌市、2010年上海万博公園彫刻プロジェクト日本委員会、日中友好道民運動連絡会、北海道上海友好協会、北海道日中友好協会
協賛:山謙工業株式会社、ソリトン・コム川上株式会社、不動産総合商社 未来通商株式会社、サッポロビール株式会社、日本清酒株式会社
協力:ACF(芸術・文化フォーラム)、北海道華僑華人連合会
企画:Office339
https://www.cai-net.jp

Text: Mariko Takei

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