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NEULAND

THINGSText: Asami Miyamura

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Kraenk Visuell KreativAgentur
ダルムシュタット大学でコミュニケーションデザインを学んだトビアスとステファンの2人組が在学中の2000年に設立した「クランク・ビジュアル・クリエイティブ」。まず目が留まるのはデザイナー2人の顔写真。作品でもあるであろう写真では、包装紙や雑誌などで身を包んだヒーローのような、変人のような2人の男性。続いて仕事場の写真も一見普通なようで奇妙だ。部屋の重力を無視して家具や壁の側面に彼らが立っているのだ。そんな彼らのグラフィック作品は、大学のポスター作品で、大学の裏方で作業するおじさんたちをフィーチャーした写真。普段目にしてないものを目にするものに変換するという試みだ。アイディア勝負の彼らの作品からは、想像力が掻き立てられる。

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Sebastian Onufszak
1976年ポーランド生まれのセバスチャン・オヌフザクは、現在はドイツ・ローゼンハイムを拠点に活躍するビジュアルアーティスト。生々しい薬物に毒された腕や歯や目、薬、注射器が画面に酔ってしまいそうなほどに無数に連続して並んでいる、奇抜なコラージュのグラフィックは、ドラッグ撲滅キャンペーンのポスター作品。ドラッグの危険性をメッセージにしている作品には、視覚的にもメッセージ性にも強さがある。無数に並ぶモチーフと、視覚的な奇抜さがとても印象に残った。

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Silja Goetz
ドイツ生まれ、スペイン在住のイラストレーターのシリア・ゲーツは、ドイツ・ニュルンベルクでコミュニケーションデザインを学び、ハンブルグで2年間グラフィックデザイナーとして活躍している。すっきりとしたイラストレーションが安心した気持ちにさせてくれる心地よい作品。女性らしい繊細な曲線と色紙のコラージュが見やすく、ファッション的な美しさのセンスを持っている。彼女の仕事場も、彼女らしいお洒落で落ち着きのある仕事場だ。

今回紹介した若手のグラフィックデザイナー達を見て、充分に若手の魅力を感じられた。これが近年変化を始めたグラフィックだというのなら、今後もっと変化してもっとおもしろいグラフィックデザイナーが現れる可能性があるのかと思うと、ドイツのグラフィックデザインに注目しておかねばならない。本誌の一人一人を 丁寧に紹介している形式は、内容の濃い満足のいくものとなっているので、ドイツの若手グラフィックデザイナーに興味がある人は、ぜひ端から端までじっくり見てもらいたい。

Neuland: The Future of German Graphic Design
出版: Actar(スペイン)
編集:TwoPoints
サイズ:17 x 24 cm
言語:英語/ドイツ語
ISBN (英語): 978-84-96954-56-4
ISBN (ドイツ語): 978-84-96954-07-6
価格: 34ユーロ、アメリカ 39.95ドル
http://www.actar.com

Text: Asami Miyamura
Translation: Mariko Takei

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