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イラストレイティブ・ベルリン 2009

HAPPENINGText: Anna Saulwick

セバスチャン・プレシューの線画は冷たく計算されているように見え、スパイログラフの痕跡のようだ。

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Photo: Sebastian Gabsch

その作品の展示されている部屋へ入ったとき、その冷たく幾何学的な線画の中へ入っていくような感じがした。作品に近づいたときにだけ気付かされるのは、壁にかかるドローイングはインクで描かれたもので、インスタレーションは糸により構成されているということだ。その完璧な糸による彫刻にあるテンションは、この展示のため引き剥がされた人間の混乱、フラストレーション、絶望、および歓喜の産物なのだろうと想像する。

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ソーニャ・ダノウスキは、小さなパネルを多数展示した。9枚の煙突のペインティングの列の上には、9枚のレインコートを着た人々を描いた絵の列、9枚の眼鏡をかけた少年の絵の列、9枚のベルランプの笠の絵の列など、一般的な都市に存在する様々な物や人物を展開した。
同じ色のパレットから引き出された全ての繰り返されるイメージは、表現された多くの生活に見られる一貫性を暗示している。密接に観察され、精細に描かれたダノウスキのイラストのテクニックは、主題の親密さを映し出している。

いくつかの作品は形式的な文章がないため苦しんでいたようだ。作品を構成する概要がなく、彼らは弱々しく崩れたように見え、それは、この展示会がイラストレータに持ちかけた挑戦やその本質を強調していた。

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めまいがするほどのこのフェスティバルに展示された作品には、アートとグラフィックデザイン間を行き来する分野で活躍する、田名網敬一など先駆的アーティストによる作品や、スウォッチが主催する「ヤング・イラストレーター・アワード」で最優秀賞を受賞したジュリア・ブルーダラーのような新生アーティストによる作品が肩を並べていた。

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沢山のテーマ、スタイル、テクニック、およびメディアをカバーしている、彫刻作品、アニメーション、ドローイング、ペインティング、およびインスタレーションが展示され、カンファレンスの話題は戦略から実用的なものや、個人的なものにまで及んだ。

フェスティバルの将来について尋ねられたパスカル・ヨハンセンは、アフリカから東ヨーロッパまで、このイラストレイティブでの活動を展開したいと希望を打ち明けてくれた。彼は、デザイン、応用芸術、ファインアート間にある“グレーゾーン”の探究に夢中で、その中に「コンテンポラリーアートの新しい時代」を見い出そうとしている。興味深く、今後も目が離せないイベントだ。

Illustrative Berlin 2009
会期:2009年10月16日〜11月1日
会場:Villa Elisabeth and St Elisabethkirche
住所:Invalidenstraße 3, 10115 Berlin
http://www.illustrative.de

Text: Anna Saulwick
Translation: Yuya Masumoto
Photos: Piers Greville

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