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セミトランスペアレント・デザイン

PEOPLEText: Mariko Takei

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tFont

オリジナルフォント「tFont」「fTime」について、それぞれご紹介をお願いします。

どちらもグラフィックと時間というテーマから生まれたものです。「tFont」とは時間軸(t)を持ったフォント(Font)という意味で名付けたのですが、 一見でたらめな光の点滅に見える映像は、文字の軌跡を描画しており、シャッタースピードを落としたカメラなどで撮影することによって初めて読むことができるというものです。そして「fTime」は「tFont」と対をなす形で生まれました。「tFont」の名付け方に従って訳せば、フォント(f)を持った時間軸(Time)ということになるのですが、ちょうど一定の時間軸上にアルファベット(A〜Z)が並んでいるというイメージです。つまり、音楽や映像と同じようにフォントを再生するというものです。

これまでに様々なインタラクティブな作品を多く手掛けていらっしゃいますが、フォントに着目したきっかけは何かありますか?

元々、インタラクティブとフォントは同じぐらい私の興味の対象です。この両者が結びついたきっかけは、ウェブのルールに従ってグラフィックを作ることで、ウェブに最適化され、正統なグラフィックからは到達できないような表現ができるのでは、と考えはじめたことです。その第1号が「tFont」です。

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セミトラ インスタレーション展「tFont/fTime」(2009, 山口情報芸術センター[YCAM])

インタラクティブな作品をインスタレーションとウェブで展開される印象が強いですが、2つの空間を使ってどのようなことを試みたいと思っていますか?

インスタレーション(実空間)とウェブが互いに影響し合いながら成立するようなものが作りたいと思っています。しかし、そのことが目的化して、主題が宙づりになってしまわないように気をつけています。

どのように作品制作を進めているのですか?制作プロセスを少し教えて下さい。また、メンバーごとに担当分野が別れているのでしょうか?

作品によってプロセスが変わります。例えば「tFont」は私がプログラムスケッチを提示してメンバー間で共有しましたし、「fTime」はその概念をほぼ言葉のみ説明し、各メンバーがバラバラに解釈したものをまとめていくという感じで作られました。

メディアの多様性とともに、デザインに必要な技術や考え方も常に変化しています。現在の社会において、クリエイティブやデザインの分野に期待、または必要とされることはどんなものだと思いますか?

メディアの変化を敏感に感じながら対応していくというのも必要ですが、表層をすくい取るぐらいでは太刀打ちできないようになってきていると思います。そこからは想像もできなかった可能性を提示することが必要なのかなと思います。

10月1日より公開予定の今回手掛けて頂いたシフトのカバーデザインについて説明して頂けますか?

YCAMで展示する「fTime」の一部を利用した映像作品です。これを見ていただければ、フォントを再生するという意味が分かってもらえると思います。

将来どんな作品を作ってみたいですか?

インタラクションを期待されないインタラクション作品が作りたいですね。

今後のご予定を教えてください。

特に予定はないのですが、YCAMで展示した「tFont/fTime」を巡回させたいと考えています。

セミトラ インスタレーション展「tFont/fTime」
会期:2009年9月19日(土)〜2010年1月10日(日)
時間:10:00〜19:00
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)年末年始
会場:山口情報芸術センター[YCAM] スタジオB、ホワイエ など
住所:山口市中園町7-7
TEL:083-901-2222
料金:入場無料
http://semitra.ycam.jp

Text: Mariko Takei

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