『作家村上春樹の作品には、どこか美しい音楽のような要素があり、音楽に対する私たちの情熱やインスピレーションと共鳴するのだ。』ブランド・ハルキ創設者 ダニエル・ハンプトンは言う。

HRUKI／ハルキ（村上春樹の名から取り、HARUKIのAの音が無い形）は、南アフリカで活動する若者向け洋服ブランドで、日本の有名な作家であり翻訳家でもある村上春樹の影響を受けている。『村上は非常に奇妙だが、しかし超現実的な世界を作り出す作家である。また同時にポップな感覚を持ち続けようとし、その感性が、あらゆる者を彼の頭の中の世界へ引き込んでしまうのだ。それは、想像を超越した奇妙な世界と大衆に対するアピールがミックスされていて、私たちもその世界を作品の中で再現したいと考えている。』と、ダニエル・ハンプトンは話す。

Siblings Daniel and Mary- Ann Hampton of Hruki, wearing Hruki

ブランド・ハルキの制作は、兄であるダニエル（以下、ダン）と妹のメアリーアンの二人組が行ない、彼らは南アフリカのクワズルナタルの南海岸にあるアマンジントッティの出身である。ダンは経済学を学び、メアリーアンは、ファインアートで学位を取得し、兄妹ともケープ・タウン大学で学んだ。このきょうだいは、2008年の9月にブランド・ハルキをスタートし、人々から好評を博し、以来世界中にそのファン層を広げている。

ダン曰く、『そのデザインはほとんど怪物みたいなもので、毛で覆われたものもいればそうでないものもいるが、皆不思議の国の住人である』と。その小さな物語のなかのキャラクターのデザインは、単にお気に入りのバンドやアーティストを表現したイラストや象徴的なものであっても、どこか恐ろしく暗く、また同時に陽気でぞっとするほど美しい。

ハルキは、昨年４月ケープタウンで発売開始し、そこでは最近の南アフリカのバンドのメンバーをフィーチャーし、その影響で、ブランドの新しいデザインの幅が広がっている。メアリーアンは、Ｔシャツのデザインを全て担当しており、お気に入りのバンドと活動し、そのバンドを表現するようなデザインを発表したりしている。その音楽のインスピレーションは主に地元の南アフリカのバンドから得ており、ロックやインディーズ、エレクトロやフォークなど、様々なジャンルのバンドがある。今のところは、Ｔシャツ制作だけだが、いずれはそれ以外の衣服やストリートファッションにも活動を広げる予定である。ダンは、特に下着の制作に興味を持っている。（股の間に“怪物”が描かれているものは未だかつて無いだろう！）

彼らのウェブサイトでは、デザインをチェックできたりハルキのTシャツを購入することもできる。サイトは、ハンプトン兄妹の上の兄がデザインしている。ダンは『家族経営が好きなんだ』と話している。

エレクトロやロック、ネオンサインのようなものから、身の毛のよだつ怪物や大男、薄気味悪い夜の風景まで、ハルキは、暗く未知の世界に引き寄せられた人々のファンタジーを表現していて、まさにその世界がハルキのクリエイターにインスピレーションを与え続けているのである。