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ツァン・キンワ

PEOPLEText: Justin Tsui

香港アーティストの曾建華(ツァン・キンワ)は、文字や模様で遊ぶことを得意としている。好奇心が強く、壁にクールな文字や模様を描くことで、社会の常識を覆している。彼の作品はリズムに満ちているだけでなく、豊かな文化的背景を表現している。彼の周りの環境に対する感性が、作品に表れているのだ。ツァンのインスタレーションは様々な都市で行われており、それぞれで評判となっている。

Tsang Kin Wah
Shu Uemura

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

1976年に中国で生まれ、5,6歳の頃に家族と香港に移住しました。その後香港の優れた芸術に触れて大学生活を送りました。子供の時から、芸術や絵画、カリグラフィーに興味がありましたが、その大学生時代が、初めて私が正式にアートを学んだ時でした。それはまた、アートを製作し、展示会を開きはじめた時でもありました。さらに視野を広げ、知識を深めたいと考えた私は、2000年の大学卒業から2年後、大学院に進むためにロンドンに行くことを決意しました。そこで1年間勉強し、その後作品製作に焦点を当て、初めてのパターンインスタレーションを製作しました。その後香港に戻り、今日に至るまでアートを作り続けているのです。

Tsang Kin Wah
Untitled – Bible(無題ー聖書)

文字や模様のインスタレーションが特徴的ですが、最初にそれを生み出すというアイディアはどのように思いついたのですか?

私が初めて「テキストパターン」を始めたのは、2002年から2003年の頃で、それはロンドンで学生をしていた時です。以前もかなり多くの文字を作品で使用していたのですが、まだ文字と模様の組み合わせには至っていませんでした。その後私は作品をさらに進化させ、何か他とは異なる独特なものにしたいと思っていたので、ロンドンの大学院に行ったのです。そこで独特な試みをしました。例えば、ロンドンでの早い時期に取り組んだ、「無題ー聖書」や「観光ーロンドンのテムズ川」などです。

しかしながら、ロンドンでの初めての海外生活で、辛い経験もしました。当初はイギリス人の生活や仕事のスタイルに適応するのが、かなり大変でした。最悪だったのは、二人の黒人の子供による言葉の暴力でした。私がただ中国人だということだけで。私は全ての状況、人々、環境に失望していました。

このことは感情に大きな影響を与え、異なる人々や環境を注意深く観察するようになりました。また、自分の不幸や失望を解き放ち、それを表現する方法を見つける必要があると知りました。また同時に、自分が常に文字に興味を持っていて、空間を利用することにも興味を持ち始めていることに気付き、2003年の卒業作品にテキストパターンの作品を選んだのです。

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