ガブリエラ・マシエル

PEOPLEText: Biljana Ciric

作品に用いる素材はどのように選ぶのですか?あなたはご自分の作品を「彫刻」と呼びますか?それとも「オブジェクト」と呼びますか?また、あなたの作品はとてもオーガニックな形をしていますが、色は人工的でもあります。この対比はどのように生まれるのでしょう?

私は矛盾したものに惹かれます。現代社会に生きる私たちのDNAはいま、無意識の衝動や、創造的思考、肉体、生まれたときから溢れている情報の中に宿り、止まる事なく「機械的人間」へと進化を続けています。そしてこの機械的人間は、人間のありのままの要素からだんだん遠く離れたものになっています。私は一人のアーティストとして、人工的な世界でナチュラルに生きるとはどういうことか、あるいは自然な世界で人工的に生きるとはどういうことか、という問いについて考え続けています。
2003年から2007年の間に制作した作品のことは、私は「creatures」(生きもの)と呼んでいます。

Gabriela Maciel
Bluepsibir, 2008 / Lycra, Cotton and foam / 70 x 70 x 70 cm

現在の作品は「Delirious Chimeras」(錯乱した怪物)という風に呼んでいます。でももし「彫刻」か「オブジェクト」か決めなくてはいけないなら、「彫刻」と言えるでしょう。なぜなら「オブジェクト」というのは私にとって、ある決まった目的のために、誰もが店で買うことができるものだからです。

本当の事を言えば、これらは「オブジェクト」でも「彫刻」でもないのですが、こうした区別はひとつに合わさって、もしかすると将来新しい呼び名が出てくるかもしれませんね。

Gabriela Maciel
Purifying Process, 2004 / Performance at SOSO, Sapporo

どのようにして作品の形の着想を得るのですか?創作の過程で生まれてくるのでしょうか?また、音楽に関係があるのでしょうか?

以前「生きもの」を制作していた頃は、音楽にとても影響を受けていましたが、今は古代文化から現代に至るまで、植物や動物、肉体について、本を読んで研究しています。自然のあるがままの姿が、私の創作活動に新たな始まりをもたらしました。だから私は作品に、ラテン語など様々な言語の起源をもつ科学的な名前をつけているのです。最近の作品の名前には、「ゴティキュレー・サブリマリス」「オーシャニス・フレックス」「コーテックス」などがあります。

現在の、「錯乱した怪物」の時期に入ってからは、デジタルビデオ作品も制作しました。あるアニメーション/サウンドアーティストとのコラボレーションでした。「錯乱した怪物」は、デジタルの分野でも意欲的なのです。
これまでの私の作品は、全て「肉体」と比較することができます。肉体は様々なパーツから成り、それらのパーツは各々に独自の機能を持つのです。

私の作品という「肉体」は、ドローイングや絵画、彫刻、インスタレーション、ビデオ作品、写真や音楽、メディアミックス作品、マルチメディア作品というパーツで構成されます。そして言葉がいくつかのパーツを組み合わせ、他のパーツはひとつのメディアの手足となっているのです。

「コーテックス・ウォール・オブ・ブライトネス」を例にとると、私は透明なプラスチックを、泡やプラスチック製品、グラフィティなどいろんな素材と共に組み合わせ、素材に新たな美しさを与えました。一体何で作られているのか説明するのが難しいほどです。
作品の深みは、技術やコンセプト、美学の混ざり合いのなかにも存在しているのです。

スターティングポイント:侵入するアートと暮らし 366
会期:2009年1月18日〜4月18日
会場:上海証大現代美術館
住所:上海市芳甸路199弄28号
主催:上海証大現代美術館
http://www.zendaiart.com

Text: Biljana Ciric
Translation: Shiori Saito

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