ウォン・ティン・ヤン

PEOPLEText: Justin Tsui

作品製作のプロセスを教えて下さい。

まず、様々なアングルから木を観察し、それが動物のどの部分になるかを考えます。基本的なイメージがまとまったら、それをのこぎりで切り、それぞれのパーツをどんな技術で組み合わせていくかを考えます。そして、作品に合った表情をつけ、色をつけていきます。作っている段階でも、満足できなかったら元々のアイディアを変えて、より良いものにしていこうと思っています。

Wong Tin Yan
疊馬 Horses, 250cm(L) x 140cm(W) x 250cm(H), 2003

今までに手がけた一番のお気に入りのプロジェクトを教えて下さい。

MTR(香港最大の鉄道路線システム)とのプロジェクトですね。「MTR Mobile Exhibit Train」という名前のプロジェクトで、古い車両を改装して中で展示ができるものに作り換えました。私の廃材の作品は、2つの車両のエンジンの真ん中にディスプレイされ、ピーク時を除いて3週間、MTRの各駅をゆっくり通過するというものです。こんな風に特別な形で自分の作品を展示できる機会に恵まれたのをとても光栄に思います。このプロジェクトは、アート作品を展示するという意味で、非常にクリエイティブな方法だと感じました。

Wong Tin Yan
門口狗(一) Don’t bite I, 68cm(L) x 16cm(W) x 65cm(H), 2008

廃材を使った動物以外に、他にはどのような作品を作っているのですか?

廃材の木を使った家具などの制作も行っています。先ほども言いましたが、私は何よりも廃材を使って作品を作るのが好きなので、家具を作るのにも必ず木を使います。以前「モンスター・チェアー」という作品を作り、「もっと色々な作品を作って、一つの家具シリーズにしたい」と考えるようになりました。香港の人には、アート作品を買って家で飾るという習慣はあまり一般的ではありません。だから香港の人たちが、私の廃材の作品と同じスタイルだけど安く買えるアート作品を作りたいというのが、家具を作る理由です。

Wong Tin Yan
怪獸櫈(一) (二) Monster Chair I&II, 2008

香港に住むことについてどうお考えですか?あなた自身の視点から香港について教えて下さい。

香港での生活はとても気に入っています。色々な機会に恵まれているし、便利ですしね。したいことは何でもできる自由があります。しかし、私は香港の人々の価値観には賛成できないところがあります。お金や不動産のことを気にしすぎているし、自分たちの周りにある大切な何かを見失っていると思います。

香港でのお気に入りの場所と、その理由を教えて下さい。

赤柱(スタンレー)近くの春磡角(チュン・ファム・コック)ビーチがお気に入りです。夏には日光浴をしたり、泳いだり。特に週末は人も少ないし、静かですから友達とぶらつくのにもぴったりのビーチです。毎年夏になると行くことにしています。私にとっては特別な場所です。

今後の予定を教えて下さい。

会社もしくはお店を立ち上げたいと思っています。そこで、オリジナルの手作り家具やアート作品、アクセサリーや洋服などを売りたいと考えています。この背景には、「香港の人々の暮らしによりよい選択肢を与えたい」という思いがあります。

Text: Justin Tsui
Translation: Tatsuhiko Akutsu

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE