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トータス

PLACEText: Nico

店舗に併設されているギャラリー・スペースでは、平野太呂による写真展「POOL」が開催されていた。空っぽのプールを映し出した写真集「POOL」は元々雑誌「relax」の取材で撮影した写真がきっかけになり、2005年にリトルモアより発表された。その後、国内外で写真展を開催してきた。今回は篠本夫妻の協力もありプール・スケーティング発祥の地であるベニスでの展示が可能になった。最近では映画「ロード・オブ・ドッグタウン」の公開により多くの人に知られるようになったプール・スケーティング。カリフォルニアのプールは日本のものとは異なり、底が丸くアールを描いているためそれを波に見立ててグルグルと滑る。それが、プール・スケーティングである。しかし、僕も含めそこには様々なディテールが存在していることを知る人は少ないと思う。

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プール・スケーターはまず、空き家や廃墟にある使われていないプールを見つけることから始まる。「売り出し中」のサインがある家を狙ったり、時にはセスナをチャーターし上空から探すこともあるという。やっと見つけることができたとしても、通常はゴミが溜まりヘドロ状になっていたり、時にはプールの中に注射器が散乱していることもある。彼らはまず大きなゴミをプールから排除し、持参したモップでプールをきれいに掃除する。仕上げに排水溝等の障害物をガムテープで塞ぐ。この一連の作業を終えるとようやくプール・スケーティングを楽しむことができる。しかし、不法侵入であるこの行為に長居は禁物で程よく滑ったら次のプールへと移動して行くという。

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日本とは異なり街を走ればスケート・パークや、路面の良い広い駐車場も沢山あるのに、なぜ、そこまでしてプールにこだわるのか。その理由は経験してみないと分からないが、まず、どのプールも手作りであり、その土地や面積により設計されるもので同じものは存在しない。更に、プールをつくる会社によりアールの角度や路面、コーピング剤等が異なる。中でもスケーターに人気なのがブルー・ヘブン社のプールである。あとは、自分しか知らない秘密基地的な楽しみや、侵入しているというアドベンチャー感がプール・スケーターを魅了している理由である。

そんな、背景を汲み取った上で改めて作品を眺めると、吸水口を塞いでいる人の姿や、スケボーが滑り抜けた傷跡があったりとこのプール・スケーティングにかける彼らの熱意が汲み取ることができ、作品に何層もの立体感を感じることができた。

日本では中々認知されにくい空っぽのプールというモチーフはやはりここベニスでは違っていた。通りを歩く人々は足をとめてプール・スケーティングの話題をしたり、または70年代伝説のスケートチーム「Z-Boys」と直接関係していた人物も、たまたま足を止めて作品を眺めていたりしていた。

その日のオープニング・パーティは第一金曜日のナイト・フェスティバルということもあり、多くの人で深夜まで賑わいを見せていた。

tortoise
営業時間:12:00〜18:00
定休日:月・火曜日
住所:1342 1/2 Abbot Kinney Blvd. Venice, CA 90291
TEL:310-396-7335
https://www.tortoiselife.com

Text: Nico
Photos: Nico

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