ル・ラボラトワール

PLACEText: Kana Sunayama

ル・ラボラトワールは、「アート」と「科学」の両現場の最先端にいるプロによって導かれ制作された作品の発表の場であると同時に、観客がそのどちらの分野にも必須である「研究」という行為に、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を研ぎすませて感じることが可能な場でもある。

ル・ラボラトワール
ティエリー・マルクスの頭の中展 Photo: © Marc Domage

「アート」も「科学」も一般にはすぐに、「よくわからないもの」と敬遠されがちである現実は否めない。そのような私たちの潜在意識を覆してくれるのが、ル・ラボラトワールの展示会場とそこに隣接する視聴覚ライブラリーに常駐して、 気軽に声をかけてくれる係員の存在だ。彼らは 誰でもがわかりやすい言葉で、「アート」や「科学」、そして目の前にある展示作品や、それらの作品が制作されるに至ったアーティストと科学者の共同作業によるプロセスなどを説明してくれる。彼らと私たちとの何気ないディスカッションから、また別の「革新」が生まれるのかもしれない。

現在、フェスティバル・ドートンヌのプログラムの一環として、2009年1月12日までアーティスト池田亮司と数学者であるベネディクト・グロスの「V≠L」展が開催されている。2009年にはインド人アーティストのシルパ・グプタと神経学/遺伝学者のパメラ・スクラーによる「恐怖は遺伝するのか?」展と、建築事務所「R&Sie(n)」と数学者フランソワ・ジューヴによる「機嫌による建築」展が企画されている。

数多くあるパリのアートスペースの中でも、一線を画す展示を行う場所がやっと現れた。

ル・ラボラトワール
開館時間:12:00〜19:00(日・月曜日休館)
住所:4, rue du Bouloi, 75001 Paris
TEL:+33 (0)1 7809 4950
info@lelaboratoire.org
https://www.lelaboratoire.org

Text: Kana Sunayama

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