デザイナーの京都議定書「THE DESIGNERS ACCORD」

THINGSText: YOSH

気候変動に対処するために、もはや残された時間は少ない!という差し迫った理由もありますが、サステナビリティはあらゆるデザイナーが当たり前のように備えているべき基本的知識である、というオープンソースへの戦略の転換が何より画期的ですよね。競争すべきはあくまでインサイトの解像度やクリエイティビティである。何をブラックボックス化し、何をオープンとするのか、次世代のデザイナーのとるべきスタンスが、図らずも問われているのでしょう。

デザイナーのジレンマを乗り越える

まだまだこれから本格化していくDAですが、本当に重要なのは「グローバルな問題は知ってるけど、具体的に何ができるの?」という悩んでいるデザイナーに、一筋の光を灯してくれていることではないでしょうか。その背景には、言いだしっぺであるヴァレリーさん自身が、僕たち自身が感じている同じようなジレンマを抱えていたのです。

というわけで最後に以下、DAのステートメントとも言える「デザイナーのジレンマ」というコラムを抜き出してみました。どこかに心当たりがあれば、そこからがスタートです。

Designers Accord
ヴァレリーさんのウェブサイト

『デザイナーのジレンマとは、発明と改善の間に存在する葛藤です。』

『新しい考えが重要な意味を持つこの転換期に、なぜデザイナーは何もしていないのでしょう?なぜ、デザインは新しい解決策や変化のための計画を手にもって、このムーブメントの最先端にいないのでしょう?多くの意味で、この環境ムーブメントは、広く行き渡ったデザインの考え方によって脅かされているのです。その考え方というのは、持続可能性=停止状態、連携=模倣、と考えるものです。』

『私たちがデザイン上のチャレンジに取り組む時、全ての答えを持っていると主張するのではなく、確実に適切な質問を投げかけるというやり方を取ると同様、環境問題に関してのデザインの方法にも、私たちの方法が間違っていたために、まだ解決方法がないことを認識しなければなりません。私たちは、大改革に固執したため、逆に、改善のための明白な機会を見逃していました。持続可能性に関して急進的な立場を取るためには、今までのデザインの考え方を変える必要があります。私たちの最初のエコ・プロダクトは、私たち自身であるべきです。』

『私たちは競合他社との競争はもうしません。私たちは同じ倫理を分かち合う人々と肩を並べているのです。従来の競争のスタンスをとることは、現在の社会・環境問題を解決するには逆効果です。全てがつながっている世界で、皆が同じ目的を分かち合っている時、私たちはデザイナーとして、どのようにして個性的な立場を作りたいという深い本能を満たすことができるでしょうか?私たちには新しい戦略が必要です。』

『私たちが知っていることの全てがひっくり返されました。私たちの信条の基となっていたことの全てが、新しい光に当てられています。変化は急速に起きています。そして、私たちも素早く行動する必要があります。私たちは、今までの習わし、方法、哲学を再び検証しています。私たちは、お互いに対話を始めました。そして、私たちは、エゴを捨て始めています。』

Text: YOSH

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