スカム・サークル

PEOPLEText: Kazumi Oiwa

冒頭にも書いた様に、私はScam Circleの曲を初めて聞いた時、いくつもの映像が浮かんできた。「僕らだけの音楽」は、私の体の中にすんなり入ってきて、いくつもの風景を見せてくれる。そして札幌にとても合っているなと思う。恥ずかしながら、そんな気持ちを2人に正直に話してみた。

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『最初に作ったコンセプトCDも、僕から見た景色、この角度から僕の目で見た景色を、僕はこう見れるけど、あなたならどう見るの?と投げかけているんです。だから映像が見えると言ってくれるのは、非常に嬉しいですね。それは僕も映像が見えているし、何かを掴みとってもらえると思う。札幌は四季がはっきりしているし、独特な流れがあるなと思うんですよ。アイデンティティもしっかりしているし。もちろん需要があればこの地を離れてしまうかもしれないけど、まずは地を固めるって訳ではないけれど、札幌で活動していこうと思ってます。無知の知というか、東京に行くとやっぱいろんなものがありすぎて八方ふさがりになってしまうと思うんですよね。でもそれだけじゃなくて、札幌には素晴らしいグループが本当に沢山存在していて、その人達に対しての尊敬だとか刺激がすごくあるから、今はここ札幌で活動していきたいと思っています。』ミズノ

『やはり僕らの音楽を聞いて、札幌っぽいのはミズノがこの地の景色を見ているから、自然にそうなると思います。ミズノはまったく僕とは違う人種だから、彼のやる事が凄い面白いんですよ。ミズノはアーティストで、僕はアーティストでは無いというか。でも音楽を作る過程で理解はできるから、彼の音楽をここで地につけたいと思います。』堀

『僕はCDを聞いていたら、なんで僕らの音楽はこうならないんだろうと思うんです。今、やらなきゃいけないのに。昔、Scam Circleの音楽を作ったときも、今やらなきゃ!と思った瞬間からできたんです。だから人間はやろうと思ってないと何もできないし、変わらない。いつかでは絶対に駄目だと思います。その時、自分が背負っているものを捨ててでも、今やらなきゃいけない思う。過去にも縛られたくないし、未来にもあまり希望を持っていないし。音楽は確かに奇跡を起こしているとは思うけど、僕自身はやっている奴にしかそれは分からないと思う。僕が堀と橋場によく言うのは、極端な言い方だけどライブで奇跡は起こらないんだよと言います。やってきた来た事しかでないと。そこにお客さんとリンクする何かがあって、いつもここまでだったのが上がっても、所詮それはその時だけ。結局自分達がやってきた事しか出せない。だから一本のライブを大切にして、そこまでに自分達の世界を完璧にしていくので、ライブは毎回勝ちにいくつもりでやっています。僕らみたいな音楽は、つまらないものを出すとすぐ終わってしまうから。』ミズノ

自分達に対しても、瞬間瞬間に対しても、常に探究し、勝ちにいく。Scam Circleの世界は本当に自身との戦いだと思う。いったいScam Circleは今後、どのようになっていくのか。未来にあまり希望を持っていないとミズノは語るが、今やりたいことはとにかく沢山あるらしい。

『常に妥協しないで、真剣に音楽をやっていきたいと思います。僕だけの世界、僕らだけの音楽を。基本この3人で活動していくけど、面白ければサポートも入れるし、これは歌が入っても良いなと思ったら歌も入れるし、もしかしたら1年後にはアコースティックギターを弾いてるかもしれないし、パフォーマーをいれて活動するかも知れない。とにかく何でもできる、可能性が沢山あると思うんですよ。Scam Circle(=嘘つきな集団)って名前の通り、例えばジャンルHIPHOPとか言って、こんなのHIPHOPじゃないよ!って言われるのが僕は面白いから、無限の可能性を秘めた、耳に残る音楽がやれたら良いなと思う。音楽を作る事は常に自分との戦いで、評価は僕らが作った音楽を聞いたお客さんがするもの。僕は僕だけの音楽をとにかく表現して、死ぬときに自分が満足する音楽ができたと言い切れるような活動をしていきたいと思っています。』ミズノ

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Scam Circle 1st mini albim [Scenery from this angle]
価格:1,000円(税込)

Text: Kazumi Oiwa

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