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粟津潔展「思考する眼差し、絵画するイメージ」

HAPPENINGText: Kazumi Oiwa

モノクロの世界から一転し、サイケデリックな色彩を使用したポスターが目に飛び込む。ほとんどが1970、80年代の映画、演劇、公共ポスターなど粟津氏が手掛けた作品が壁にびっしり展示されていた。演劇関係の作品はタイトルからアングラな作品に携わることが多かったように思えるのだが、彼の情熱はきちんとそれらのポスターにも現れている。

粟津潔展 − 思考する眼差し、絵画するイメージ

『彼は興味を持ったものは自分が納得するまで、とことん描く人なんです。北斎なのど浮世絵にも惹かれていた事があるそうですし、線に惹かれたら線しか描かなくなります。何故それに惹かれたのかと聞かれても僕には分からないのですが、惹かれたものはとことん勉強し、とことん描き続け、作品となっています。』とケン氏が語るように、線、目、手、亀、牡丹、阿部定など当時粟津氏が惹かれていたものが描かれ、版画、シルクスクリーンなどの手法で作成されている作品が多く展示されていた。

粟津潔展 − 思考する眼差し、絵画するイメージ
粟津潔「ANTI WAR -A」1971、公共ポスター、シルクスクリーンB1 © Kiyoshi AWAZU

色彩が強い作品が並ぶ中に、これまた違う画風の作品が展示されている。

粟津潔展 − 思考する眼差し、絵画するイメージ
粟津潔「野盗、風の中を走る」1957、舞台ポスター、シルクスクリーンB1 © Kiyoshi AWAZU

『彼はその時に影響を受けた作品等を模倣していき、自分の作風に取り込み、オリジナルにしていきました。だからがらりと画風が変わっていくのですが、1950年代最後の頃はベン・シャーンの作品を好み、次々と模写をしていったと聞いています。なぜベン・シャーンだったかと言うと所謂、文字も含めて社会派な作品を残した方で非常に興味を持ったらしいのです。実際、ベン・シャーンが来日した時は京都まで、和田誠氏と自分達の作品を持って会いにいったほどベン・シャーンに惚れ込んでいたと聞いています。』とケン氏。先ほどの1970、80年代の作品も、それより以前の作品もその時々で粟津氏が影響されたものが現れ、また今で言うコピーライトも粟津氏の直感的思想が如実に現れている作品も展示されていた。

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