「デザインは世界を変えられる?」

THINGSText: YOSH

ではさっそくGUIDEから見てみましょう。

Design for Social Impact

まず最初に、それまでデザインとは縁がなかった人びとに、デザインでできること(あるいはできないこと)を共有しておく必要があります。そのためには、デザインの価値を明確にすること(Provide Value)、自分たちが興味があって取り組みたい対象を選ぶこと(Be Focused)、プロジェクトを進める上でしっかりと下地を作っておくこと(Set Up for Success)が大切です。

続いて、自分たちのできることを明確に整理しましょう(Summary of Offering)。そもそもIDEOはデザインシンキングという考え方がベースにあります。それはフィールドワークのような定性的なリサーチを重ねて綜合し、プロトタイプを制作して検証していくメソッド。今まで新商品や新サービスの開発に使われていたその手法を、社会問題の解決にも応用できるのではないか。デザイン会社の普段のワークフローの延長でソーシャルイシューにコミットするのが「Design for Social Impact」の大きな柱といえるでしょう。

例えば、ケーススタディには、IDEOのエンジニアは5時間半だけディレクションしただけで、「d.light」という画期的な太陽光ランタンの開発に成功した事例や、同じくデザイン会社の「Celery Design」は、SUNをクライアントに、家庭で発生するエネルギー量を記録できるウェブサイトを設計。ビジネスとしてイノベーティブな案件などが紹介されています。タイミングやキャパシティに応じて、現実的な関わり方を見つけていく。1回の講演だけでも、大きな気づきを与えられることもあるのです。

Design for Social Impact

選択肢は沢山あります。問題をよく理解していて経験もあり、クライアントの信頼関係が十分であれば、コンセプトを一から考える「Concept incubation」も可能でしょう。一方、時間がないが興味があれば、1~2時間だけブレストに付き合う「Concept brainstorm」でも十分に価値がある。場合によってはビジネスとして成立するときもあるだろうし(Business as usual)、客観的なディレクションだけでブレイクスルーを生み出すことができる(Process guide)。問題が多様だからこそ、それぞれの適材適所があるはずです。

Design for Social Impact

ワークブックには上記を踏まえて、具体的な戦略を考えることができます。「モチベーションはどこから来るのか(社会的意義、評判、社員のモチベーションなど)」「自分のできることは何か(分野、ターゲット、期間など)」「自分にとっての “Social Impact” とは何か(興味は何か、何を変えたいのかなど)」といったゴールの設定(GOAL)、「もうやっていること」「活用できるリソース」といった現状の整理(TOOL)、そして実行に移すための計画(PLAN)がそろえば、後は始めるだけです。「Design for Social Impact」を持続可能にするのは、何よりもモチベーションだと思います。最初に決めたゆるぎないGOALに常に戻れるように、大きな夢を言語化しておきたいですね。

「デザインは世界を変えられる?」答えはもちろん「YES」です。だからこそ等身大のスケールでは何ができるだろう?気になったらさっそくワークブックをプリントアウトして、是非ワークショップを開いてみてください!

Text: YOSH

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