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エレクトリカル・ファンタジスタ 2008

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

巨大な開発予算と製造形態によってしか生み出されないとされてきたテクノロジープロダクト。ファンタジスタたちは、そのクリエイティビティで別のアプローチから未来に向けたプロダクトをつくりだす。

エレクトリカル・ファンタジスタ 2008
ムラタチアキ「METAPHYS susuki」

ささやかな気配でもたなびく繊細な稲穂のような照明「susuki」。ムラタチアキが大阪のものづくり企業の質の高い製造力と開発力をもってデザインをし、世界の市場に送り出す家電シリーズ「メタフィス」の最新作だ。はかない光のきらめきを表現したLEDライトと照明本体の緻密さと繊細な美しさは、機能美ではとらえきれない技術とものづくりの美をアートにまで高めたプロダクトである。

エレクトリカル・ファンタジスタ 2008
松山淳一「hana no ne」

独自のアプローチから生まれた「ファンタジスタ」によるプロダクトの挑戦もある。独力でものづくりとテクノロジーを会得した奈良在住のデザイナー・松山淳一。松山は機械と人との間の関係を結ぶ「スイッチ」を作品として作り続けている。「write-bulb」は、鉛筆で描くことによって回路が生まれあかりが燈る照明。「hana no ne」は、花を生けることによってボリュームが調整するオーディオスイッチ。そして「I’m home」は、使わなくなった想い出のアンティークキーの居場所として、そのキーだけで点灯できるライトをつくりだした。松山が持つ、機械のチカラで気持ちが豊かになればとの素直な想いをかたちにしたインタラクションである。

エレクトリカル・ファンタジスタ 2008
クワクボリョウタ「uturina」

メディアアーティストであるクワクボリョウタは2年ぶりの新作として「ウツリナ」を発表した。ウツリナは映像の瞬間にある煌めきを取り出して、LEDライトの煌めきとして再現させる作品。こころに残したい光の情景をまるで障子の先にあるような光のはかなさへと変換するその作品はメディアアートとしてのアプローチから生まれる、プロダクトのより先にある感性に響く作品をかたちにしてくれているのだ。

エレクトリカル・ファンタジスタ 2008
バスキュール「Gyorol」

ファンタジスタたちは、メディアアーティストであったりインタラクションデザイナーであったり、独力でつくる人であったり、インタラクティブ広告の覇者であったり多彩なバックグラウンドを持っている。テクノロジーの進歩がもたらした、多彩なクリエイティビティの可能性は、アートとデザイン、テクノロジーをクロスオーバーな存在に変えている。そして、そのクロスオーバーな表現から私たちにとってのアートでありデザインを「発見」できる世界。それこそが電子のファンタジスタたちが現出させた「少し先の未来」なのかもしれない。

エレクトリカル・ファンタジスタ 2008
会期:2008年7月18日〜8月6日
時間:13:00〜19:00 会期中無休
会場:ZAIM別館 横浜創造界隈
住所:神奈川県横浜市中区日本大通34
入場料:700円(小学生以下無料・大学生以下500円)
主催:クリエイティブクラスター
共催:ZAIM (財団法人横浜芸術文化振興財団)
助成:芸術文化振興基金
後援:文化庁・横浜市・CG-ARTS協会
協賛:関西テレビ放送株式会社・株式会社葵デジタルクリエーション
協力:株式会社ソリッドアライアンス・有限会社CMMD・株式会社田口製作所・株式会社TRY-A
企画・プロデュース:岡田智博
問い合わせ:045-222-7030 (ZAIM)
http://fantasista.creativecluster.jp

Text: Tomohiro Okada
Photos: Tomohiro Okada

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