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進化する次世代エコ自動車

THINGSText: Mariko Takei

すでに世界中でクリーンカーとして注目を集めているLPG車。黒煙が限りなくゼロに近いLPガスは、クリーンエネルギーで、CO2排出率が低く、低騒音で低コストの「低」が3拍子揃った車だ。全国を走るタクシーの約9割がLPG車だから、エネルギー補給も難しいことが少ないといえる。言わずと知れた、ガソリンエンジンと電気モーターで走るハイブリッド車「プリウス」だが、そのトヨタ・プリウスをベースに改造されたのが、LPガス+ガソリンと電気モーターの切り替えで走る「プリウスLPGハイブリッド」だ。LPガスを導入することで、さらに低燃費、低CO2排出を目指した。アストモスエネルギー株式会社より展示されていたこの車は、残念ながら同乗車として走行中の為、見ることができなかった。

世界初の試作車展示となったのが、住友電気工業株式会社による超電導電気自動車だ。超電導線材の抵抗ゼロという特性を活かし、モータに利用することで、省エネルギーを図る。更には、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などに応用し、モータの小型化や軽量化を行い、環境にも資源にも対応した車となる。これからの開発に期待したい。

そして、最後に紹介するのが、北海道の根室地域に位置する別海町役場から出展されていた「バイオガス自動車」だ。日本一の酪農王国を誇り、乳牛11万頭を飼育している別海町では、年間19万トンもの糞尿が発生するという。その糞尿から発生するバイオガスを燃料とするのがバイオガス自動車だ。もともと、家畜排出物の臭いや汚染などで周辺環境への問題となっていたことから、糞尿がバイオガスとしてエネルギーになると知ったこの町の人たちにとっては、目から鱗のアイディアだったに違いない。こちらの車は、実際に同乗させてもらうことができた。通常のガソリンとバイオガスの切り替えが、スイッチで簡単にできるバイフューエル車で、乗り心地もガソリン車と変わらず。また、バイオガス自動車に改造するのにかかる費用百数十万円のうち、55%〜60%の国の補助金が出るらしい。しかし、燃料のバイオガスを充塡するステーションがないのが現状。これからどのように効果的に運用されていくのか楽しみな車だ。

ヨーロッパで広く支持されているディーゼル車。ディーゼル開発が進み、遂にこの9月には、クリーンディーゼルエンジンを搭載した日産の「エクストレイル」が発売開始となる。クリーンディーゼル車は、低燃費で低CO2排出に加えて、クリーンな排気が特徴。世界的にも注目されていて、次世代エコカーの先駆けとなるだろう。
企業や自治体などが、車を走らせるために利用される燃料やパーツ、そして、車を運転するという概念まで、これまであったものの次段階をいくアイディアとして、ズラッと展示されていた展覧会だったといえる。次世代を行くエコカーは、現代でも公用車やハイヤーとして既に利用されている。今後創造される新しいアイディアの発展に目が離せない。

環境総合展 2008
会期:2008年6月19日〜21日
会場:札幌ドーム
https://www.do-summit.jp/kankyouten2008/

Text: Mariko Takei
Photos: Mariko Takei

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