ニューライフ・ベルリン・フェスティバル 2008

HAPPENINGText: Peta Jenkin

フロントドアに向かう途中ですでにフロアは手にビデオカメラを持った人々で混雑していた。それぞれのキャラクターのテイストに合うように作られた部屋がアパートの中に4つある。売春宿のようなスタイルに手の込んで飾られたインテリアに囲まれて横たわっているのは、ゴールドのドレスを着た傲慢な表情の足の長い女性が、誰かと思えば映画「フラッシュ・ゴードン」のオーラ姫だと言うではないか。実はこの女性はアーティストのヴェ・マグニで他の参加者のようにこのプロジェクトに申しこんだ中から選ばれ、こうしてパフォーマンスしているのだ。

ニューライフ・ベルリン・フェスティバル
Fictive Days © Andreas Bastiansen

彼女のストーリーを説明するあたりがとても面白く、なぜか僕はのぞきをしているように感じた。フラッシュ・ゴードンに対する彼女の愛と彼女の父の宇宙に存在するパワーのリサイタルはとても陳腐に思えたが、観客は彼女の動きを録画し、たまに質問をして楽しんでいたようだ。そんな時、隣の部屋で僕が気になっていた、エクソシストのレーガンを演じているアーティスト、アメリア・ジェオコスを見つけたのだ!ベッドに縛り付けられ、助けを求めて泣き叫び身もだえしている彼女。スピリットを集める機械のようなものに彼女の手首は長いコードにつながっている。面白くもあるが、正直怖い。手を取りベッドから出せと要求されたが、呪いをかけられるか手をかじりとられるのではないかと恐怖で断ったのだ。

ニューライフ・ベルリン・フェスティバル
Fictive Days © Peta Jenkin

全てのキャラクターが、役に全身全霊を捧げていたというわけではなかった。最近「Fur」という写真集を出した有名な写真家、ダイアン・アーバスを演じていたニッキー・ジョンソンがこのプロジェクトで役を演じることについて快く話をしてくれた。

『これまでのところ、プロジェクトはとても興味深いものになっていると思うわ。私達は役をみんな違う形で解釈しているの。何人かは本当に役を忠実に再現しているし。ニューヨークに住んでいる写真家としては、ベルリンに来てまでこういうリスクを負うプロジェクトに参加できることは本当に素晴らしいことだと思うの!誰も展開を予測できなかったし、そこがまた面白いのよね。』

「エリザベス女王」がビールをくれたり、いろいろなアーティスト達と話をしていたら時間が過ぎていった。そして時間の経過とともにムードが変わる。これはパーティでも展覧会でもない、これはベルリンの土曜の夜の人々の奇妙なアソートメントだろうか。参加者の一人が、9時頃ロケットでパフォーマンスを行ったが、残念なことにすぐに失敗に終わってしまった。それはこの興味深いプロジェクトにとってとても滑稽なエンディングになってしまい、プロジェクト自体の成功に何とも言えない感想を抱いてしまった。見る側からとしてはとても好奇心をそそられる体験だったと言えるが、僕はこのようなタイプのパフォーマンスアートに対し、答えよりも疑問を多く持ち帰ってきてしまった。

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