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山下澄人

PEOPLEText: Yurie Hatano

作品のアイディアはどこから生まれるのでしょうか。また作品ができるまでの期間や過程について教えて下さい。

頭の中にはたえず次の作品へ向っていろいろなものが駆け巡っています。けれどもそうやって頭の中を絶えず駆け巡っているものらは、ふだんまったく形になっていません。それは「漂っていつまでも消えない煙」のようなものです。それらが突如、形になりはじめるのは、ぼくはとても横着なので、締め切りというものがあらわれたときです。それがあってはじめて「煙」は形になりはじめます。そしてそれを元にして台本にしていきます。アイディアというものが生まれるのは、この段階からです。そこまではアイディアも何もないまま進めます。何もなくて「こわい」といえば「こわい」ですが、慣れれば意外と平気なものです。この間が約ひと月ぐらいです。で、それができたら、あとは3週間ほどの稽古でそれらを本番で「劇」にする準備をします。このときも、様々なアイディアが浮かんでは消えていきます。そのときはもう何を見てもアイディアになるような気がする状態になっています。ほとんどが使い物になりませんが。ですから、アイディアは「どこからどのように」というものではなくて、その状態に入れば人はたぶんいろいろな何かを思いつくのだと思います。

FICTION

ネットシネマ「ON THE ROCK」では映像の監督も手掛けられていますが、この作品について教えて下さい。また、舞台との違いは何ですか?

この作品は急遽頼まれて、4日で台本を書き、2日で撮影し、2日で編集、1日で音入れをしました。映像作品ははじめてだったので、こんなすぐにできるものなのかと思いながらやっていたのですが、いろんな関係者に「いやぁ最速記録でしょ」といわれたので、そのあとずっとそのことを自慢しています。台本は今まで劇でやってきたことをいくつか使いました。何をやるのかは分かっているから、そこではそんなに苦労はしませんでした。一番大変だったのは撮影でした。劇には「切り貼り」がありません。観客は上演されているものの見たいところを見ていいのです。ですが映像は、それを作り手が取捨選択して見ている人に提示しなければなりません。ですからそのことには少しだけ頭を使いました。あとはスタッフさんとの意思の疎通です。あまり語られることはありませんが、意外とこのことで疲れてしまう人は結構いるようです。ぼくの場合、期間も短かったしそうでもありませんでしたが。それら以外ではそんなに戸惑うことはありませんでした。今まで沢山の映画を見てきてますから、だいたいわかりました。むしろそういう意味では舞台より映像の方が親近感があったのだと思います。何度もいいますが、子供のときから山ほど見てきてますから。

影響を与えられている作家やアーティストなどはいますか?どのような面で?

ひとつの作品が作られるためには、作り手のなかにそれまでに見たり読んだり聞いたりした様々な作品の蓄積があります。それは「おもしろい」と思ったものだけでなく「つまらない」と思ったものも含めてです。で、その様々な作品たちにも、それまでにその作り手たちが見たり聞いたり読んだりしたものの蓄積があります。ですから、特定の誰に影響されたというよりは、世界中の全ての作り手たちと作品、これまで作られてきた全ての作品とその作り手たちに影響されているのだと思います。

これから挑戦したいことや、今後の予定を聞かせて下さい。

今年は夏から初秋にかけて東京と北海道の数カ所で公演を予定しています。映像もまた機会があればやってみたいです。ただ、映像は劇よりお金がかかります。ですからここをご覧の裕福などなたか、大事なお金を税金で取られて知らないところで馬鹿役人に無駄遣いされてしまう前に、ぼくに作品を作らせてみませんか。それから今、小説を書いています。いずれどこかで発表される予定です。あくまでも予定ですが。あと、丸1年ぐらい「あーだ」「こーだ」いいながら、いわれながら、脚本家として映画の台本も作っています。あと、4月に本格的なものとしてははじめてとなるワークショップを札幌で予定しています。

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Text: Yurie Hatano

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