ザ・ウィップ

PEOPLEText: Yasuharu Motomiya

今回のアルバム(3月リリース予定)についてはどういった内容ですか?

ブルース:ライブはクラブみたいにすごくエネルギッシュですが、このアルバムは昼間に家でも聞けるし、もうこの中の2、3曲聞いた事がある人がいるかもしれないです。クラブっぽい感じの曲も入ってますが、ただクラブっぽいのではなく、質のよいアルバムとして際立っていると思います。

有名なプロデューサー、ジム・アビスが参加されていますが、実際にはどういう作業をやりとりしているのでしょうか?どういうプロセスで作っているのか知りたいのですが?

ネイサン:レーベルのA&R担当のネイサンという人が、ジムを良く知っていて、その人を通してジムと知り合いになりました。ジムはオルティメート・プライド等の他のバンドもプロデュースしたことがあり、僕らもジムの事は知っていたし、ネイサンが僕らに、「ジムにプロデュースしてもらうのはすごくいいと思うよ」と言われてたのがきっかけです。

ブルース:それで、ダニーと僕はジムとお昼を食べにいったり、ロンドンのギグにも来てもらいました。ジムは自分で色々やりたかったみたいなので、僕らは特に何をしようともせず、ただスタジオに向かいました。ジムのような人と仕事ができるだけで、光栄です。

ダン:ロンドンのスタジオに入って、ドラム、ベース、ギターの撮り直しをし、ところどころキーボートもやり直ししたり、スタジオではほとんどの時間一緒に作業していました。

一緒にスタジオに入って、こうしたほうが良いとか、ああした方が良いとかいうことは?

ダン:そういうのは沢山ありました。彼は、僕らに自分達の境界線を超えて考えさせるように促すのがとても上手です。

アレンジなどは自分たちでしたのですか?

ブルース:90%くらいそうですね。一曲だけ、曲の最後の部分、アウトロを自分達でアレンジしました。新しいエンディングを付け加え、サイケデリックな感じに終わるようにしました。これは自分達で色々試してみた中で最終的に良く仕上がって、これはすごくおもしろくて、レコーディングの中で一番楽しかったです。それから、ジムにアルバムの中で他の曲より劣っている曲があると指摘され、もう既にレコーディング終えた曲だったのですが、「この曲だけど、もっと良くできるよ」と言われ、リミックスすることにして、結果的にもっとハードで踊れる感じの曲になりました。それがあの日本人の女の子の声が入っている曲です。

THE WHIP

レコーディング中のエピソードなどありますか?

ネイサン:沢山ありますよ。いっぱい笑いましたね。ジムと最初の日はちょっと、何て言うか、気まずい雰囲気があったんですが、それを自分達から崩していって、お互いをからかったりして、だんだん打ち解けていきました。

ブルース:そう、冗談をお互いに言い始めて、沢山笑いました。

ネイサン:そこだけのバンドを作って、「コネクションズ」とふざけた名前をつけたり。

ブルース:ジャズ・ファンクなジョークのつもりで。アルバムの3曲でザイロフォーン、大きくて古いオルガンとピアノを使いました。それをコネクションと呼んで、3曲使ったんです。

ネイサン:本当のバンドじゃないですよ、ちなみに、ジョークです。コネクションズのアルバムは出ません。コネクションズは解散しました。音楽性の類似により解散したんだと思います。

制作自体はそんなに長くは感じなかったんですか?

ダン:9月に始めて、終わったのが先週の金曜日です。

ネイサン:1ヶ月超レコーディングして、6週間くらいかな、やったりやらなかったりで。9月から今まで詰めてやっていたという訳ではなく、その間ギグもやったり、3、4週間ツアーに出ていたりもしました。

ブルース:何日かはロンドンのスタジオにいて、ギグのため電車で移動、それからまたロンドンに戻るというような感じでした。移動ばかりでしたね。昼間はレコーディング、夜はギグと、大変でした。ロンドンに帰る電車の中でも仕事をしたりしました。ノーウィッチの着替え室でちょっとボーカルをやったこともあります。ノーウィッチのトイレで。それはもうインスピレーションいっぱいです!その他、ワゴンの後部席やサウナ、うちの台所、寝室、色々な人の自宅等、所々で少しずつレコーディングをしました。

最後に、アート、カルチャー、音楽やファッションなどが好きで、それを自分で発信しようとしている人たちにメッセージはありますか?

The Whip:続けること、諦めずに、決して投げ出してしまわないこと、他の人にそれは無理だと言わせない事、機械に負けるな!

マンチェスターと聞いてすぐに思い出すのはハッピーマンデーズなどに代表されるファクトリー系のロック・バンド。それから時代は二周りも三周りもしているが、果たして彼らのサウンドから進化した現在を聴き取れることができるのかは、3月にリリース予定のファーストアルバムを待ってみよう。

The Whip「X Marks Destination」
発売日:2008年3月19日
レーベル:KSR
定価:2,415円(税込み)
http://www.thewhip.net

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Aya Watada

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