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丸田絢子

PEOPLEText: asaaki Takahashi

インスタレーションであると同時に、ショップのインテリアにもなっているわけですが、そのあたりでご苦労された点、逆に、なにか発見された点はありますか?

今回ホワイトキューブの中に作品を作るのであったら、もっと悩んでいただろうと思います。私はこれまでアートとしてものを作るというより、建築家として活動してきました。建築家として活動していくと、クライアントの要望や敷地の条件は作品のコンテクストの一部となります。特徴のある空間の中で、デニムを中心とした商品と共存する作品をつくるという状況は、建築家の活動に近く、とっかかりは見つけやすかったと思います。

丸田絢子
撮影:首藤幹夫

本作はもともと、形を扱った抽象的な作品であると同時に、ショップインテリアとして成立することを考えて作りました。ランプの集合体だけでなく、商品を載せる什器やハンギングパイプなども私がデザインしましたし、商品やトルソーの基本的な配置もイメージスケッチの形で指示しています。作品とショップが共存しているというよりも、ショップの形を取った作品というか、空間全体を作品と感じていただければうれしいと思っています。

Ayako Maruta
撮影:首藤幹夫

今日、建築家にとって、仕事がしやすいとも、しにくいともいえる時代ですが、丸田さんご自身のスタンスはいかがですか?

経済成長や環境のことを考えると、純粋に建築を作るという仕事は少なくなってくる時代かと思います。これからは、建築家としてではなく、より広義のデザイナー、クリエイターとしていかによい作品を作っていくかが大切だと考えています。

かねてより、デザインとは様々な問題を創作活動で改善したり、ときに感動を与えることと考えていました。ですので、建築というジャンルに捕らわれず、その状況に最良のデザインを提供できる今の時代は肌に合っていると思っています。ただ、建築という学問そして職業が与えてくれた技術的な知識、デザインへの感性、多くの業種の人々とのかかわりは、広義のデザイナーとしても最大の武器であり、アイデンティティーであると感じています。どのようなジャンルの仕事をしても、やはり建築家と呼ばれるよう、アイデンティティーの感じられる仕事をしていきたいと思います。

丸田絢子
“SO-EN 70th+1 PAPER FANTASY”

丸田さんのこれまでのご活動をお教えください。

設計事務所で建築デザインの経験を積んだ後、2006年に独立しました。独立後は若さというか、発想力を求められる仕事をいただくことが多く、ショップのインテリアデザインや展覧会場の空間デザインなど、ジャンルを問わずに活動しています。今後は、リノベーション(改修)やコンバージョン(用途変更)にも挑戦できればと思っています。

Suspended Figure
会期:2008年1月30日〜8月17日
営業時間:11:00〜20:00(2F GALLERY 13:00から)
会場:DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA 1F
住所:東京都港区南青山6-3-3
TEL:03-6418-5323
http://www.diesel.co.jp/denimgallery

Text: asaaki Takahashi
Photos: Mikio Shuto, Courtesy of DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA

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