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メディア・オペラ「アワー・ブリンク」

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

音楽をはじめ、音響技術、映像、デバイス・テクノロジーなど様々な要素がこの作品を構成しており、それぞれの領域を結んで一つの作品に作り上げる共同作業でのエピソードなどはありますか?

全体を統合していくにあたり、最初に全部が見えているわけではなく、たとえば、今回天井に16個のスーパーツイーターを吊ったんですが、これなんかもPAの阿尾氏がぽろっと『知り合いのPA会社にスーパーツイーターが50個くらいゴロゴロしているよ』って言うのが発端で、、。それならば是非それを使おうということになって、(実際は重さと分岐の関係で50個は無理で、16個になったんですが)じゃぁその16個のスーパーツイータからニュースソースの音声をパラで出していったら面白いんじゃないか、、とか。そういう感じで、舞台環境から逆に生まれていったアイディアも沢山ありました。ただ、実際に作り上げていく段階ではそれぞれが複雑にリンクし合っていたので、なかなかどこから手をつけたらいいのかって言う感じで、はじめの何ヶ月間かは具体的な作業に入れずほぼ話し合いだけで進んでいましたね。

DOTMOV TOKYO 2007

フリーボーカリゼーションの福岡ユタカ氏と8人編成のストリングスアンサンブルが印象的でしたが、この二つの生演奏の構成上意図したものは何でしょうか?

この二つがというよりか、前半を占めているラップトップから繰り出されるノイズを中心としたサウンドに対しての意味合いが強いですね。特に福岡さんの声はその存在感がとても強いので、シャーマン的な意味合いや、プリミティブな祈りに近いものを託した部分がありました。ストリングスもやはり前半のノイズに対して、有機的な存在でもあったり、全体を包み込む包容力であったり、という側面を意識した構成でした。

LEDライトやその他、音と映像を演出する上で様々なプログラミングを使用していますが、具体的にどのような技術を使っていますか?

LEDの方は外部信号との連携が可能なDMX信号制御用アプリケーションでコントロールしていたんですが、シーン併せて作ったLEDの制御パターンを組んでmidiトリガーでタイミングを取っていました。映像の方はMax/MSPを使ってリアルタイムに処理していました。(LED、映像ともに、基本的な部分はmidiでのシンクロを取っていたんですが、実際の公演ではシンクロのトラブルも起きたりしいたので、実はかなり松尾さんのマニュアルでのコント−ロールでした。)音に関しては実際のスピーカーの配置による部分が大きいのですが、福岡さんの声やストリングスの音に関してはUweにリアルタイムエフェクト処理をしてもらっていて倍音の部分だけ音の定位移動させたりなどしていました。

DOTMOV TOKYO 2007

今回の上演について、自身の手ごたえとしてはいかがでしょうか?

今回の反応というのは今までいろいろやって来た中では一番、見えづらいというか、まぁいろんな部分で賛否両論あったわけですけれど、ただ自分の中では割としっかりとした手応えはありました。きっとこの作品見る人の状況や視点によって大きく見え方が変わる作品であったんだと思います。決してわかりやすい構造はしていないので、表層を追ってしまうと何のことだかわからないものに映っていたのかもしれないですし。あとは全体(プロデュース的立場で)総括していくということでは随分思うことはありましたね。まだまだ経験を積んでいかないといけないなと。

また、今後また同じような取り組みは行っていきますか?

メディアオペラという形でやるかどうかはわかりませんが、やはり多くの人が関わって作り上げる面白さって、一人で作る時とは違って、なかなか自分の青写真通りには行かない部分だと思うんです(笑)。でもそこで自分だけでは引き出せない何かを引っ張り出せる可能性が沢山あるのが面白いとおもっています。そういう意味ではこういうようなプロジェクトは今後もやっていきたいですね。

メディア・オペラ「アワーブリンク」
公演日:2007年11月17日(土)19:00 開演 / 18日(日)17:00 開演
会場:アサヒ アートスクエア
住所:東京都墨田区吾妻橋1-23-1 アサヒスーパードライホール 4F
入場料:予約 3000円 / 当日 3500円
企画・構成・原案:高橋英明
演出:松尾邦彦/高橋英明
音楽:mjuc (Hideaki Takahashi) / サポート:Uwe Haas
映像:松尾邦彦、名和憲進
主催:アサヒ・カフェナイト実行委員会
特別協賛:アサヒビール株式会社
協力:SHIFT/DOTMOV
お問合せ:P3 art and environment(03-3353-6866)
https://www.aiding.jp/opera-hourblink

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Aki Goto

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