FIAC 2007

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パリのギャラリーを点々としたあと、やっと ギャラリー、アンヌ・ド・ヴィルポワに拾われて落ち着いた感のあるカデール・アティアの作品は、FNACによって買い上げられた。
毎年FIACの際に大量の作品購入を行うFNAC(Fonds Nathional d’Art Contemporain:フランス国立現代アート基金)は、今年のFIACで約40点を購入。 FNACのFIAC予算が400,000ユーロと言われるなかで、なぜこのような大量購入になるのかと蓋を開けてみれば、 アンヌ・ド・ヴィルポワが半額で提供したとかしないとか。

FIAC 2007


そんななか、非常にセンスの悪いブースをつくっていたのが、パリとマイアミにギャラリーを持ち、日本のカイカイキキの作家や森真梨子などを抱えるギャラリー、エマニュエル・ペロタン

FIAC 2007

性器や性交渉中のX線写真をステンドグラスにしたり、中国の田舎に大きな家畜場を持ち、そこの豚にタトゥーを施して豚が死を迎えたときにその皮を作品にしたり、はたまたうんこ製造機を創ったり、そんなぎりぎりの笑いをシリアスに求めるベルギー人アーティストのヴィム・デルヴォワイェだが、今回は少しやりすぎたよう。
バービー人形のように、自分自身のヴィム・デルヴォワイェ人形を何百体も販売するために、ピンクと白の風船をギャラリー、エマニュエル・ペロタンにて2ヶ月にわたって行われたオーディションで選ばれた美人双子姉妹に持たせ、 FIACの間中ビジターに配らせていた。いくらアートフェアとはアートを商品として売り買いする場所であったとしても、その笑えない、いき過ぎた方法にフランスアート界はみな眼を背けていた。

FIAC 2007

基本的に、 FIACの間にグランパレで出展を許されるギャラリーには、ある程度の歴史とお抱えアーティストの国際的知名度や、ギャラリーでの展覧会のレベルの高さが求められる。逆に、ルーブルの中庭に特別設置されたテントの下でブースを持つギャラリーは、比較的若く、世界的に名を馳せ始めてはいるものの、大御所とまでは呼べないくらいような若手の作家たちと、共に大きくなっていこうとしているギャラリーが多い。グランパレと比べると、やはり作品ひとつひとつの質の違いを感じるが、「これって「アート」なの?」「「アート」って何?」なんて言葉が聞こえてくるような摩訶不思議な作品や、単純に「ああ、面白い!」と思える作品にどんどん出会うことができる。

FIAC 2007

とは言うものの、アート界ではすっかりスターとしての地位を確立しているジャン・リュック・モーマンやジョン・アームルダーなどの作品にももちろん遭遇できる。

FIAC 2007

狭いブースをふんだんに利用して混沌としているかのように思える展示の中にも、はっと足を留めて見入ってしまう作品も多い。

最近は年柄年中常にどこかの街で現代アートフェアが開催されており、現代アートに対する世の中の購買力にただただ驚嘆するばかりであるが、FIACやフリーズ、アート・バーゼルアーモリー・ショーなどの世界に名だたるアートフェアは、まだ「美術史」の一部にはなりきっていない、美術館では見られない「今日のアート」に触れることができる機会でもある。どんなに列にならんでも、高い入場料を払っても、人の多さに疲れきっても、「あー、もうお腹いっぱい!」と思えるほど現代アートの波にもまれてみるのも悪くない。

ここでひとつ言及しておきたいのは、アートフェアは「展覧会」ではない。テーマもなければ、キュレーターもいない。ただ日ごろから「アート」で生きているアート界の要人たちが、そのお披露目をする場所である。時には、コレクターとの商談のあとだろうか、床に置きっぱなしになっている作品もある。ただ雑多に並べられたように感じる数え切れない作品たちのなかでも、本当に「良いもの」、「自分に何かを語りかけてくるもの」はテーマやキュレーションには関係なく、自分の目に飛び込んでくるものであるし、どんなに人がいようと、自分と対峙する作品との空間が自然にできあがるものである。そんな作品との「出会い」を求めて、アートフェアに行ってみるのはどうだろう。そして、そんな作品に出会ったら、是非値段を聞いて欲しい。そんな風に世界中のギャラリストたちに値段を気軽に聞いて、会話ができるのも、アートフェアの醍醐味だからだ。

FIAC 2007
会期:2007年10月18日〜22日
会場:グランパレ、クール・カレ・ド・ルーブル

Text and photos: Kana Sunayama

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