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ミュンスター彫刻プロジェクト 07

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ナウマンと同じように、心を奪われたようになる作品がもうひとつあった。それはスーザン・フィリップスの「The Lost Reflection」。
地図に印がついている場所に行くと、そこは川にかかる橋の下。何人かが何をするわけでもなく、橋桁に寄りかかり、きょろきょろしながらアート作品を探している。そんなことをしていると、目でばかり何かを探していた私たちを包むように、急に音楽が流れ始めた。


今回のプロジェクトで彼女は「ホフマン物語(The Tales of Hoffmann)」というジャック・オッフェンバックのドイツオペラでのワンシーン、河を越えてのデュエットを再現した。この作品では、このオペラの映画版でのジュリエッタのソプラノとメゾソプラノの歌を一方の河岸に用い、もう片方の河岸の歌は自ら歌ったものを録音し、流していた。
歌はまず一方の河岸からはじまり、石でできた巨大な橋の下で響き渡る。その歌声に聞き惚れていると、反対側の河岸からも歌が始まった。ふたつの声は呼びかけ、呼応し、共鳴し、橋の下を響き渡り、私たちを包み込む。ぼーっとしてしまうほど美しい音と空気のなかで、ふと向こう岸に目をやると、同じような反応で、同じ音と空気に包まれている人たちがいる。上部の橋にぶつかり跳ね返ってくる歌声、ゆったりと流れる河、鏡に映るこちら側を観ているような気分になる向こう岸の景色。
全てが二重に重なり合って、とてもあたたかい雰囲気が流れていた。

この橋のすぐ近くに設置されていたのが、1952年生まれケルン在住のドイツ人アーティストであるローズマリエ・トロッケルの「Less Sauvage than Others」。

金属でも石でも粘土でも、「彫刻」と言われて思い浮かべるような素材ではなく、イチイだけを利用してふたつのブロック型の彫刻がつくりあげられている。
そのふたつのブロックの間には、まるでイギリスの庭園を歩いていながら遭遇するような隙間。

何かあるの?何もないの?何かがあって欲しい。それが何かを見つけたい。
この間を通れば何かが見える?何かが起こる?
そんな私たちの好奇心と覗き見心を刺激する作品。
見えるのは向こう岸。

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