OFFFフェスティバル 2007

HAPPENINGText: Eduard Prats Molner

今日は土曜日、そう、フェスティバルの最終日なのだ。次は何かと緊張と楽しみで胸がいっぱいである。VJパフォーマンスとモーショングラフィック集団/スタジオ「オニオンラボ」をあいにく見逃してしまった。

モーショングラフィックについての2時間セッション、「アンダー・インフルエンス」から午後が始まる。ステージにはカルロス・El・アスマン、ジャスティン・コーンバックそしてヘクター・アユソが現れた。


左からバック、ジャスティン・コーン、カルロス・El・アスマン、ヘクター・アユソ

ジャスティン・コーンが彼のサイトモーショングラファーについて話す前に、カルロスが司会となり、このセッションについて軽く説明をする。

「モーショングラファー」とは資料や記事を見つけたり、最適の会社、または個人にリンクできる純粋にモーショングラフィックシーンへ貢献するためのウェブサイトである。ジャスティンがヴィジュアルエッセイについて話し、モーショングラフィックが公共のスペースでも広告業界でどれだけはやく新しいメディアとして定着し始めているかを話す。

バックは近頃では最良のモーショングラフィックエージェンシーのひとつと言えるだろう。TVコマーシャルで彼らの作品をよく見ることができる。『モーショングラフィックは時間に基づいた物語を暗示する媒体である。』バックがオーディエンスの注意を引くためにモーショングラフィックの話を説明する。

ヘクター・アユソはこのOFFFフェスティバルの責任者であり、インオフェンシブの総責任者でもあり、そしてバルセロナのBAUデザイン学校のモーショングラフィックプログラムの教授も勤めている。彼は今現在最も注目すべきモーショングラフィックアーティストの一人、リナセントについて語る。

彼の生徒の一人が作成した今回のフェスティバルクレジットを見る前に、リナセントによる過去のOFFFクレジットビデオを見ることができた。

最後に、SINTEVISIONによる今年のOFFFのための作品を見ることができた。なんと3D!オーディエンスはこの三次元の世界をたっぷりと堪能するため3Dメガネを渡された。


3Dメガネで見るためにデザインされたSINTEVISIONの作品を楽しむオーディエンス

マット・パイクが彼の最近の作品を紹介する。様々な人々とコラボレーションするプロジェクトが彼のお気に入りのようだ。最新の「ノキア」と「アウディ」との彼の作品はプロセッシングで作られた、いつでも違う形で再利用できるエンジンが使われている。ネットワークでのコラボレーションのひとつ「ユニバーサル・エブリシング」のカーステン・シュミットによって、これらのプロセッシングの大抵の物は開発されている。

2007年のOFFFが終わりに近づこうとしている。ジェームス・ビクトル、ジョン前田、そして高木正勝、フィナーレにはとっておきのラインナップだ。カンファレンスホールは彼らを一目見ようと人でいっぱいだ。ジェームス・ビクトルは実に話が上手かった。『広告会社は君たちをバカだと思っている』というヘッドラインのステッカーを配り始めた。彼は作品にこめられたメッセージを非常に大切にしている。人種差別反対のキャンペーンに積極的に取り組んだり、新聞や雑誌にとても批評的なイラストを書いたりしている。


ジェームス・ビクトルのカンファレンス

彼の息子ルカについてと、食器に自由にペイントした「ダーティ・ディッシュ」展とのコラボレーションについて熱く語るビクトル。彼のスピーチは素晴らしい空気を持っていてとても興味深い。おそらくこの瞬間は今回のOFFFの中で最高の物かもしれない。ジョン前田が公演を始め、スタッフがベン・フライケーシー・リースゴラン・レヴィンそしてザッカリー・リバーマンといった研究家たちを連れ、現代アーティストのトップであるジョン前田の影響を紹介する。

正直私はかなり興奮している。なんといってもコンピューターアートの生み親である。「デザイン・バイ・ナンバーズ」を作り上げた男、「aesthetics + computation group」MITメディアラボの責任者である彼がスピーチを始めようとしている。

ジョン前田は「シンプリシティ(簡潔性)」に着目し、さらにシンプルにわかりやすく、簡単に使いやすく、そして最後に、もっと楽しめるといったデザインのためのテクノロジーを進歩させることに焦点を置いた実験的なリサーチプログラムを進めている。

彼は最近「The Laws of Simplicity」という本を始めて出版したばかりだ。「簡潔さ対複雑さ」のテーマを紹介するジョン前田だが、 ミュリエル・クーパーには特別な思い入れがあるようだ。とても複雑な交通標識を見せながら、どれだけ複雑性が人々に恐怖を与えるかをジョークを交えて話し、オーディエンスはすっかり話に夢中である。

彼の小さい頃の見た豆腐工場の話になり、『豆腐はとてもシンプルに見えるかも知れないが、とても複雑なプロセスを経てでき上がったものなんだ』と伝える。さらに彼は、事実自然とは複雑な構成ででき上がった美であり、人間は大抵複雑性を好むものなんだ、と認め、しかし複雑性とはシンプルな物体からつくられたものかもしれないと語る。

過去の展覧会とプロジェクトを説明し、『コンピューターとは一本の鉛筆以上の物でも何でもないーエイプリル・グレイマン』といった研究家やデザイナーに言及する。コンピューターがツールとして使われるのだけなく、モニターの前にあるマウスを叩いたり、CDトレイを開けるとスクリーンがクラッシュする(毎分繰り返す自動的なプロセス)といったアートインスタレーションのツールにもなっていると、ジョン前田は話す。


ジョン前田と彼の「マニフェスト」

彼は年をとればとる程失っていく全ての機能の曲面を説明しながらも、しかし実際知識の曲面は私達とともに止まること無く成長していくのだと述べる。彼はオーディエンスにとてもわかりやすい例をあげ、納得させる。
子供に2つのチョコレートクッキーを選ばせると、必ず大きい方を取るが、同じ子供に2つの山積みの汚い服を洗うために選ばせると、必ず小さい方を取る。『楽しいことであればもっと欲しくなるが、その逆だととたんにいらなくなるのである。』

スピーチに戻り、最後に話を締めくくる。『考えて、想像し、教育する。そして一番大事なことは、楽しむこと!』

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