NTT ICC オープン・スペース 2007

PLACE

この10年間、メディアアートの最前線をになってきたNTTインターコミュニケーションセンターが、昨年から展示形式を変更したのを受け今年も「OPEN SPACE 2007」としてリニューアル。昨年は公開されていなかった作品と今回あたらしく発表された作品を中心に展示作品、出品アーチストともにリニューアルし、この10年を振り返りつつ、また新たな10年への一歩を踏み出した。

sharelog.jpg


エントランス・フロア”ネットワーク・ゾーン”と名付けられたフロアに設置されていたのは「sharelog」、「電書咲花 on goo」、「インタッチ」の三作品。橋本弘太郎による「sharelog」は、SUICA、PASMOに代表されるICカードをを端末にかざすと、それまで移動してきた軌跡が作品の画面に動線として映し出される作品。その体験は、自分の歩んできた場所を思い出すとともに、なんとも言いようのない恐怖感、いうなれば、自分が普段自覚しない領域に自らの時間、動線が記録されている事実に驚愕する。ICカードという、生活必需品となりつつある便利なツールが、自分の動きを履歴として残していることは概念としてわかっていても、実感としてなく、こうして視覚化して映し出されることで、自分の動線を客観的な視点で確認できるとともに、誰でも自分の動きを把握できることが可能なことを知らせているのではないだろうか。妄想狂的に思考を走らせれば、これと同じ装置が各駅の自動改札に設置することも可能なわけで、SF映画のような状況がテクノロジーによって現実に生まれつつあることを実感する。

sharelog.jpg

一方「電書咲花 on goo」は、言葉を花のグラフィックへと変換するロマンチックなソフト・ウェア。検索エンジン”goo”によって呼び出された言葉をドラック・ドロップすると、その言葉を色鮮やかな花のグラフィックへと変換する。こういったプログラムを作るのは様々なテクノロジーを応用しているのだろうが、そういった印象を与えずに「これ面白い」と素直になれる作品だった。作者の伊藤麻梨子はまだ、1984年生まれという新世代。今後が気になる作家である。

sharelog.jpg

“ネットワーク・ゾーン”から”アート・テクノロジー・ゾーン”の階へ上がる途中にも面白い仕掛けがある。階段を上るのと同時に自分の足音ではない音が、どこかで鳴っている。階段へ注意を向けると、一段一段の両側にモーター駆動式のデバイスが設置されており、上り下りする人間の動きを感知し、音をたてる。この「ゲイナーカイダン」、足音と音のなるタイミングが微妙にずれていて、感覚を混乱させる。

sharelog.jpg

“アート・テクノロジー・ゾーン”には様々なメディア・アートとよばれる一連の作品群が展示されており、ここを参照することで、メディア・アートの動向を把握することが出来る。そのなかから幾つかご紹介する。

sharelog.jpg

minim++“による「KAGE」は、その名のとおり影をモチーフにしたインタラクティブ作品。円錐状のオブジェの影は一見すると分からないが、実はプロジェクターから投影された映像で、鑑賞者の行動によって変化し、鑑賞者の影に対する既成概念を刺激する。

sharelog.jpg

武藤努による「オプティカル・トラジェクトリー 2」はインテリアとしても使用できるインタラクティブ照明。傾ける角度や動きによって、照明のカラーが様々に変化する。

sharelog.jpg

平川紀道による「DriftNet」は、インターネットのウェブサイトのあらゆる情報を数値化し、コンピューターグラフィックの波に変換する。

sharelog.jpg

「テーブルスケープ・プラス」は、発光する台座の上に小さなスクリーンが幾つかあり、そこへまた人や風景などがプロジェクションされている。そのスクリーンは自由に動かすことができ、それによって映し出されたキャラクターがアクションするという、進化したドールハウスのような作品。

総じて鑑賞者がなんらかのアクションを起こすことによって作品が反応をするということを明確な意図とした作品が多く見受けられたが、これはメディア・アートというフレームのごく一部を表しているのであって、その可能性は大きく開かれている。

sharelog.jpg

以上、簡単にご紹介したが、これら一連の作品や今回紹介しなかった作品などが「ICC OPEN SPACE」へいくと無料で鑑賞可能で、過去のアーカイブやメディア・アートの動向がICCの歴史とともひも解ける「インタラクティヴ年表」なども合わせ参照することで、よりメディア・アートへの理解を深めることができる。また、定期的に作家を招いたシンポジウムやライブ・ショウが開催されている。

生活様式に溶け込み見えなくなっているテクノロジーを別の形でアートとして提示し、また反対にここでアートとして表現されているテクノロジーが生活へとフィードバックされる場、ポイントとして「ICC OPEN SPACE」を眺めれば、日常でどれほどのテクノロジーを享受しているのか、今後どのようなテクノロジーが実生活の場で活躍するのかが見えてくるだろう。

ICC OPEN SPACE 2007
会期:2007年4月19日〜 2008年3月9日 10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合翌日)、年末年始(12/8-1/4)、保守点検日(8/ 5,2/10)
会場:NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
TEL:0120-144199(フリーダイヤル)
入場無料
主催:NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]
http://www.ntticc.or.jp

Text and Photos: Yasuharu Motomiya

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE