DING DONG!(ディンドン)アート・フェスティバル 2006

HAPPENINGText: Ayako Yamamoto

ニースデン・コントロール・センターのアナとステファンは黙々と制作中。


Neasden Control Centre

口からおしりにくぐり抜けることができる大きな犬のインスタレーションの他、小さな犬小屋、犬のオブジェとつぎつぎと作っている。


Neasden Control Centre

アナは、このプロジェクトに参加して、いろいろな人と出会えたのが嬉しいとにっこり。スティーフは大きなプロジェクトでエキサイティングしているとのこと。こんなに大きなスペースは初めてで、いろいろなアングルから自分の作品を見ることができる、と目を輝かせる。『今まで2週間滞在制作をしてきて、どんどん新しいアイディアがでてきたのがよかった。大きな犬のインスタレーションでは、犬の目にテレビ画面を置き、自分たちの目を映すという、犬に人間をミックスする面白いアイディアがでた。今回は、ペイント、オブジェクト、インスタレーション、サウンド、ビデオと全てのメディアをとりいれてようと思って。』

夜になり、増山士郎のパフォーマンスも始まった。週末の夜に限り、自身のバーのインスタレーションで、バーテンダーに扮し、オープンしているのだ。その名も「パーキィー・パーティー」、寒々としたパーティーという意味だ。このバーでは客は、たとえグループで来ても、一人で飲まなければならない。


Shiro Masuyama “Parky Party”

隣の客とはついたてで仕切られ、それぞれカーテンを閉めるようになっている。バーテンダーとも会話はしない。置かれたメニューに印をつけ、お金をのせて差し出すと、飲み物が出てくる。しかしグラスが鎖でつながれていて、飲み終わるまでその場を離れることはできない。孤独をしいられるのだ。備え付けのヘッドホンは音楽を聞くためのものではなく、防音のためのもので、周りの喧噪からも一人遠ざけられる。客となった男性二人は口をそろえて、奇妙なバーだったとにやり。『一人でイスに座ったとたん、誰かに見られている気がして、落ち着かなかった。すぐにカーテンを閉めたよ。コミュニケーションが取れないとなると取りたくなるね。二人で隣同士に座ったので、紙にかいて会話したよ。』

アートを見に来るのか、社交のために来るのかわからない人々を皮肉った「反社交バー」とあったが、それだけではなく、携帯電話、メールやインターネットなどコミュニケーション過多にある時代の、一人の時間、コミュニケーションのあり方などを考えさせられる作品だった。

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