第4回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

氷原の彼方から人がスケートでこちらに向かってくる。よく見ると、全裸の男性。彼は撮影者の周りをぐるりと回り再び彼方へ消えていく。


Jaan Toomik, Father and Son, 1998

ユーモラスではあるが、どことなく神秘的な雰囲気も漂うジャン・トゥーミックの作品。


Roland Flexner, Untitled, 1993-1995

洗面所ぐらいの大きさの小部屋に、当時使用されていたと思われる鏡。その脇に展示されてあった、少しグロテスクにデフォルメされた様々な人の表情を点描で描いたローランド・フレクスナーのドローイング。


Felix Gmelin, Sound and Vision, 2005

フェリックス・グメリンの映像作品。手前には、年老いた女教師が子供達を相手に教室で性教育をしている様子が大きく投影される。子供達は美しき男女の裸体を胸部から性器に至るまで触接する。なぜなら彼らは盲目だからだ。その映像の向こうには男が何かを叫び続けている映像がモニターに映し出される、という構成。


Robert Kuśmirowski, Wagon, 2006

とある教室のドアをくぐると、突如として巨大な貨車があった。このように重いものをわざわざ運び込んだのか?そう考えてみたもののやはり現実的に不可能な点が多い。あとで会場にいる係の人間に聞いた所、これは、精巧なフェイクを得意とするロバート・クシミロウスキの作品で、枕木とレールを除いては、紙、木、スチロールからできているらしい。


Paul McCarthy, Bang Bang Room, 1992

肋木の並ぶ、かつての体育館だと思われる広いポール・マッカーシーの空間に巨大なオブジェ。ドア、いや、部屋の四方の壁が開け放たれている。次の瞬間これらの壁は大きな音をたてて、ダイナミックに開いたり閉じたりを繰り返しだす。

以上、駆け足でさわりだけを紹介して来た。実際はより多くのアーティスト、より繊細な作品の数々があった事を付け加えておく。これらは、ある一定の傾向は保ちながらも、とても多様で、ヨーロッパが刻んで来た歴史を想起させる、興味深い展覧会だった。

第4回 ベルリン・ビエンナーレ
会期:2006年3月25日〜5月28日
会場:クンスト・ヴェルケ他、ベルリン市内
https://www.berlinbiennale.de

Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE