マグネット

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先月、僕が編集・発行しているフリーペーパー「マグネット」の発行にあわせて、先行配布イベント「MAGNET NO.15 リリース・パーティ」を行った。これは今年からの新しい試みで、ちよっとしたアップグレードだと考えている。そのあたりを踏まえて、今回は、パーティの様子を紹介するだけではなく、「マグネット」のヒストリーを紹介しつつ、今年、発刊4年目を迎える「マグネット」をご存知の方も、そうでない方にも、有効な「再紹介」をしていきます。

「マグネット」とは何なのか? 一言でいえばアート・カルチャーを紹介する隔月発行のフリーペーパー。誰が作っているの?誌面のクレジットを見ると、発行元は、「ニュメロデュー」となっている。これは僕が主宰しているクリエイティブ・ユニット。1999年に発足。その活動の中心はアート・カルチャーを紹介するウェブマガジン「ニュメロデュー」を制作。インタビューとニュースを中心とした記事をネット上にアップしている。「マグネット」はニュメロデューの活動4年目を向かえた2002年よりのニュー・プロジェクト。ニュメロデューの4年間の活動によって生まれた、アイディアや、つながりによってマグネットの発刊は可能となった。

「ウェブ」からの新しい展開が「紙」とは、時代から逆行を感じる人もいるかもしれない。しかし、僕はそれでも「紙」をやろうと思ったのは、ウェブマガジンの4年の経験を生かして、ネットの時代を前提とした「紙」メディアを作ることだった。「マグネット」は、「ウェブ」という存在を十分に認識をしながら、新しく生まれた「紙」メディアと考えて欲しい。

「マグネット」は2002年に発刊。雑誌を発刊する場合、なんらかの中心となるコンセプトを作るが、僕はあえてその部分は詰めなかった。内容について、号を重ねながら、その時の時代の流れや、出会いによって、フレキシブルに対応していきたかった。しかし、あらゆる部分を自由にしてしまうと、メディアとして不安定なものになる。そうなると読者にとって魅力的なものにならない。そこをクリアーにするために、「隔月発行」「読者に有益な読み物とする」「アートディレクターとフォトグラファーを慎重に選ぶ」という土台の部分は、コンセプトに対して、しっかりとしたものとした。土台が強ければ、その中で、かなりフレキシブルに内容が揺れても、まとまりのあるものが読者に提供できるのではないか、と僕は考える。テキストは、インタビューを主体として、アーティストの生の声を可能な限り捉える。デザインに関しては、毎回特集テーマに合わせて新たにデザインを組む、という冒険をしながらも、本誌は、あくまで「アートを紹介するメディア」であるので、自体がアートな存在とはならない、と決めて、エディトリアル・デザインは、あくまで裏方してのデザインのおもしろさを出していくことにしている。

エディターは基本的に僕がチーフを担当し、特集を起案し、決定する。しかし、号によっては、外部より企画が持ちこまれる場合もある。その場合でも、「マグネットらしさ」が出るようにアレンジをする。そうでないと意味がない。テーマはアート・カルチャーに関するものなら古いものから、未知数のものまで取り扱う。「いくつかの選択肢」より「ベストのひとつ」と考えるから、ひとつの号について、ひとつの特集記事しかない。以上を踏まえて、今年より、決めたキーワード、「デザイン(広い意味で目的や設計)」「ライフ(日常)」「シンキング(考えること)」の3つを誌面に反映して、読者にライフスタイルを提案できるような、読み物を作りたいと考えています。一般的な告知情報などは掲載せず、時の流れに風化しにくい、「雑誌」というより「本」という感覚で制作しています。

2006年の2月下旬、「マグネット」の15号が発行された。今年よりの新しい試みとして、発行イベントを行うことにした。会場はシフトがプロデュースするギャラリーカフェ「ソーソー」。2月23日19時より。フリーペーパーの発行イベントが有料というのも変な気がしたので、入場無料とした。お客さんは受付で、世界でもっとも最初の配布場所である本イベントでマグネットを受け取る。

会場の中央の壁面には、プロジェクターを使って、今回のマグネットの誌面や、今までの各号のカバービジュアルなどを、ゆっくりとしたテンポでスライドショーとしてイベントのはじまりから終わりまで流して「マグネット」の世界を演出した。特集した東京のプロダクトメーカー「バルミューダデザイン」の6つの製品を、黒い布で覆った展示台の上にシンプルに置いて、製品の上に天井から、製品名のパネルを制作して、細いテグスで吊るした。

照明を落とし、パネルが空中に浮かんでいるイメージ。窓際スペースを使用してバックナンバーの展示も。時間中30分程度、「札幌インタビューマガジン」の梶田氏の司会により、エディター、アートディレクター、フォトグラファーの軽いトークも
行った。裏方が、ちょこっと顔を出す感じ。イベントの基本はマグネットの先行配布と、コミニュケーションの場。今回で基本のフォーマットはできた。次号からもやっていきたい。

「記事(平面)とリアル」。これが今年の「マグネット」のテーマだと思う。平面の紙面を発行、確定された紙面の内容を、立体的で生の感覚のあるリアルな場の発行イベントの中に出していきたい、それによってデジタルの中だけでは生まれない、何かの目撃者に僕はなりたい。その場のみなさんと。これがマグネットが今年パーティを行う意味としていきたい。みなさまよろしくおねがいします。


フリーペーパー MAGNET

Editor in Chief: 石川伸一(NUMERO DEUX)
Art Director :菊地信吾 (rocketdesign)
Photographer:星野麻美
Staff:吉岡陽子(mato.),山本愛子(mato.),山本郁江(WANT)
Publisher: NUMERO DEUX
QZJ12432@nifty.com
http://numerodeux.jp.org

Text: Shinichi Ishikawa from Numero Deux

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