トキオン・クリエイティビティ・ナウ・トーキョー

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

そしていよいよ最後のセッションは、スチャダラ兄、天久聖一、いとうせいこう、高木完、ムードマンによる「東京システムクラッシュ」!東京の夜をリアルに変容させた「風営法」を切り口に、「なんでカジノがOK風で、クラブがだめなんだ?」という「クラブピープル vs 太陽族」の構図を浮かびあがらせる。これは決してクラブシーンに閉じた話ではなく、いたるところで起こっているクラッシュを意識するための警鐘的なケーススタディとして聞くべきなのだろう。

いとうさんは『踊っていて、何が生まれるかが重要』と言う。リーガル/イリーガルの境目がステレオタイプで決定され、非常に曖昧になってしまったこの世知辛い世の中で、それぞれが主体性を持ちながらつながっていくことこそ、システムを再起動するための大きな原動力となる。それを実現する鍵は創造性=クリエイティビティであり、生み出された「何か」はいつの日か、カルチャーと呼ばれているに違いない。

こうして長くてタフな一日が終わった。アフターパーティーではムードマンが僕らの目の前で、一曲一曲丁寧に解説付きのDJプレイをしてくれる。何か言いたげな、でもまだ答えを出し切れてない悩ましげな面々も次第にチルアウトして、いつのまにか笑顔で聞き入るオーディエンス。この居心地のよい空気感って何かステキ。

昨年同様今回も、まだまだこれから!って時に終了してしまったセッションもあっただろう。それでもクリエイティビティ・ナウの本質は、期待感をあおりまくるキャスティングの妙にあると思う。これだけの魅力的な個性が集まってそもそも1時間ちょいで終わるはずが無く、だからこそ悶々とした思いはそれぞれの周辺に、熱い火の粉を残したまま持ち帰られていくのだ。そうやってクリエイティビティはくすぶり続ける。東京のカルチャーシーンはまだ燃え尽きてはいない。

TOKION CREATIVITY NOW TOKYO
日時:2005年10月23日 12:00〜21:00
会場:ラフォーレミュージアム原宿
住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿 6F
TEL:03-3475-0411
http://www.tokion.jp/conference/

Text: Yoshihiro Kanematsu
Photos: Kenjiro Nakano

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