NIKE 公式オンラインストア

CMYK フェスティバル 2005

HAPPENINGText: Yurie Hatano

フェスティバル最終日には、SHIFTもゲストマガジンとして「フォーム」セクションにてのプレゼンテーションを行った。SHIFTとSHIFTプロデュースのギャラリーカフェ、ソーソーの関係を中心に、進行プロジェクトについてごく簡単な紹介を行うと、その後のメインラウンジでは、またさらに出会いが増える。昨年はなかったと言うこのゲストマガジンによるプレゼンテーションだが、簡単な自己紹介の場として、そして各マガジンや関係者の認識の場としては、とても良い機能を果たしていたように思う。

同じ「フォーム」セクションの、数人のゲストと共に進行するラウンドテーブル式のディスカッションにおいては、昨年はフラットな会場にて傍聴者も自由に発言できる形で行われたそうだが、立派なステージと客席を構えた今回の形は、“ディスカッション” というよりもむしろ “トークショー” と表現した方がわかりやすいのかもしれない。スピーカー達は必ず客席に向かって質問を求めたが、発言する者はほんのわずかだった。つまり、ステージ上にいるゲスト同士の討論は積極的になされたが、客を交えた混乱するほどの熱い討論にはならなかった。もちろんこの進行のスムーズさは、このフェスティバルが確実に成長している印でもある。

こうして昨年の開催報告と比べると、今年のCMYKは全体的にその規模を増していたようだ。会場の広さや動員数、セクションの数、通訳や進行のスムーズさ、また会期中に公開となった、CMYKのマガジンも、ページ数が何十倍も増した立派な本になって登場した。財政的な困難を挙げながらものこの成長は、代表のビクトリア・ゴメスを中心としたスタッフの熱意や努力の現れであろう。ディスカッションの熱い面白みに欠ける点や、古き良き狭い空間でしかつくりだせない雰囲気など、成長と同時に失われる小規模の良さもあるが、それが規模を増して成功していく全てのイベントに通じる、利点と喪失点の関係と言えよう。

CMYKは、土曜の夜のクロージング・パーティを最後にその幕を閉じた。会場となったのは、パロ・アルトという大きな煙突がそびえる倉庫街だ。オープンニングパーティーでも、CCCBの会場でも、とにかく沢山の出会いによるコミュニケーションが中心だった3日間だったが、ここでは、ドイツのチックス・オン・スピードによる奇妙なパフォーマンスにみんなが笑い、そして踊って夜を明かした。

果てしない数のマガジンが世界中に溢れている中で、信念と意欲を持って個々に色濃く活動するマガジンが共に刺激し合い、交流することができた活気ある3日間だった。もちろん雑誌関係者ではなくても楽しめる内容だったように思う。普段海を越えた場所でオンライン上でのみのコミュニケーションの中、実際に “出会う” ことの意味も知った。また、あなたのお気に入りの愛読誌があるとして、それを発信する者を知るのは素敵なことだ。マガジン・カルチャーに徹底的に焦点をあてた世界的フェスティバルとして、そのユニークな無二の存在を確立しつつあるCMYKは、今後も第3回、第4回と確実に成長をとげていくに違いない。

CMYK Festival 2005
日時:2005年7月21日〜23日
会場:CCCB
住所:5 Montalegre, 08001 Barcelona
TEL:+34 93 306 4100
info@cmyk-mags.com
www.cmyk-mags.com

Text: Yurie Hatano
Photos: Yurie Hatano

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE