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CMYK フェスティバル 2005

HAPPENINGText: Yurie Hatano

メインラウンジに集まる人々は、週末に差し掛かる2日目からさらに増した。雑誌を閲覧できる「ソファ」の席は時に全て埋まり、何冊もの雑誌を抱えて歩く人々が行き交った。「キオスク」の各雑誌のデスクを沢山の人が囲み、オンラインマガジンの「RGB」セクションでも腰を落ち着かせて楽しむ人々も見られるようになる。ホールを出入りする人々も当然増え、「フォーム」でのカンファレンスやディスカッションも引き続いて活発に行われた。

SHIFTでは今年、このメインラウンジのセクションの一つ「RGB」におけるオンラインマガジンのキュレーションを行った。世界中から厳選されたオンラインマガジンのうち9つがここで紹介され、大きなスクリーンにも映し出されたが、他のセクションに比べると少々ひっそりとしすぎていたようだ。設営を工夫する必要性も然ることながら、このフェスティバルでしか手にできないような発刊雑誌に対して、オンラインマガジンは世界のどこからでもいつでもアクセスできるというところに、その理由があるのではないだろうか。その代わりに、後に行われたオンラインマガジンの編集者達によるディスカッションは、広告の問題を中心に面白い盛り上がりを見せた。

今年新しく追加された「ビジュアル」と「ワークショップ」の2つのセクションは、ゲストカントリーであるドイツと、開催国スペインからのマガジン編集者やデザイナー、アーティストによって行われた。「ビジュアル」というのは展覧会のセクションで、参加しているゲストマガジンのコラボレーター達の作品が、会場入り口付近のスペースに展示された。「ワークショップ」はその多くが開催期間中のいずれか2日間に渡って行われ、あらかじめ予約して参加した人々は主に学生が多く、雑誌関係者やコラボレーター達等と共にプロフェッショナルな作業に触れることとなった。

その「ビジュアル」と「ワークショップ」の両方のセクションを受け持ったコラボレーターに、以前カバーデザインを手掛けたドイツ、フランクフルトのデザインチーム、ホートがいる。1日目、2日目に行われたワークショップにてホートのマーティンは、クリエイティブ作業に大事なのはファースト・ステップであり、明確なプランニングや定義であるとし、映画から個々がそれぞれに解釈した印象的な言葉をビジュアル化するという、面白い試みを提案した。『思いもつかなかったような驚くべきアイディアが生徒達から出されるので、僕もすごく楽しんでいるよ。』と、マーティンはコメントする。身近にある限定された材料を、それぞれに工夫してデザインに施す生徒達の目はとても真剣だった。また、3日目にホートは「ビジュアル」のセクションで、作品を展示するのではなく、現在進行中のグラフィック・ツアー・プロジェクト「ザ・ワン・ウィークエンド・ブック・シリーズ」の一環として作品の制作過程を披露した。

フェスティバルにはあと一つ「アウト」というセクションがある。会場内の小さなくつろげる空間でマガジン関係者やコラボレーターによるDJプレイが昼間に行われた他、初日のオープニングを含めた夜のパーティもこのセクションの一部として盛り上がった。2日目の夜のコンサートは会場CCCBの中庭スペースで行われ、WYZとパトリック・ウルフのライブパフォーマンスに、ノー・ドメインによるダイナミックなVJスクリーンが色を添えた。

バルセロナの空の下は、夜が更けても暖かくて過ごしやすい空気に包まれていた。SHIFTがフィーチャーする様々な世界的フェスティバルは、この地を会場にしたものがとても多く、レポートからその活気を常々読み取っていたが、気持ち良くミュージックを聴きながら、それがバルセロナであるという理由を肌で感じ取ることができたような気がする。

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